岩崎久弥

岩崎久弥の生涯と業績

岩崎久弥（いわさき ひさや、1865年10月14日 - 1955年12月2日）は、日本の著名な実業家で、三菱財閥の3代目総帥です。彼は正四位、男爵という栄誉も受けています。久弥の生誕地は土佐国安芸郡井ノ口村（現在の高知県安芸市）で、父は三菱の創設者、岩崎弥太郎です。

教育と海外留学

久弥は幼少期から学問に熱心でした。明治8年に福澤諭吉が設立した慶應義塾に入塾し、その後、父が開設した三菱商業学校で英語や簿記、法律、経済を学びました。明治19年にはアメリカに渡り、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールに在籍し、学問を深めました。彼は1891年に帰国し、三菱社に副社長として参加します。

三菱財閥の発展

久弥は1894年に社長に就任し、三菱の事業を多岐にわたり拡大しました。長崎造船所の近代化を推進し、東京の丸の内地区の開発にも力を注ぎました。また、麒麟麦酒、農政事業、製紙業など多くの新規事業の立ち上げに関与しました。特に農政事業は国内外に広がり、小岩井農場や末廣農場を運営し、朝鮮半島やスマトラ、ブラジルなどへの経営も手掛けました。さらに、事業部制を導入し、三菱合資会社の活性化に貢献しました。

戦後の引退生活

太平洋戦争が終わった後、1947年にGHQの財閥解体政策により、三菱関連の全役職を辞任せざるを得なくなりました。以後、千葉県富里にある末廣農場の別邸で静かな引退生活を送りました。

文化財と公共資産

久弥は文化事業にも貢献し、和田維四郎の指導の下で古典籍を収集し、「岩崎文庫」を設立しました。この文庫は後に東洋文庫に統合され、1924年には東洋学の研究進展を目指して新たな東洋文庫を東京都文京区に設立しました。また、清澄庭園や六義園などの公共の庭園を東京市に寄付しました。

岩崎家本宅は1896年に建設され、現在は重要文化財に指定されています。建物の一部は一般公開され、訪れた人々に久弥の文化的な遺産を伝えています。2018年には、彼の出身地や関連地に基づき「岩崎家ゆかりの地広域文化観光協議会」が設立され、地域の文化観光の振興が図られています。

栄誉と家族

久弥は多くの栄典を受けました。位階では1887年に従四位、1903年には正四位を授与され、勲章も複数受けています。私生活では、寧子夫人との間に3男3女をもうけ、その子孫も三菱関連の多くの職に就いています。長男の彦弥太は副社長を務め、次男の隆弥は各社の会長を歴任しました。特に長女の美喜は社会事業家としても知られ、エリザベス・サンダースホームを創立しました。

岩崎久弥の業績と影響は、今日の日本経済にも多大な影響を与え続けています。

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