岩崎卯一

岩崎卯一の生涯と業績

岩崎卯一（いわさき ういち、1891年11月10日 - 1960年6月8日）は、日本の社会学者及び政治学者として知られています。彼は特に関西大学において重要な役職を務め、大学の発展に大きく寄与しました。彼の人生は、教育や学問に捧げられたものであり、特に社会学と法律の分野において顕著な成果を上げました。

初期の学びとキャリア

岩崎卯一は佐賀県杵島郡の武雄町に生まれ、幼少期から教育熱心な家庭に育ちました。武雄町立高等小学校を卒業後、1908年には佐賀商船学校に進学しましたが、その後の経過から夜学校に転校することになりました。しかし、健康上の理由からこの学校を中退せざるを得ず、しばらくは牟田万次郎のもとで身を寄せることになりました。この頃に法律に興味を持ち、法曹界を目指す決意を固めます。有名な人物との出会いがきっかけとなり、法律の勉強を本格化させました。

神戸警察署で通訳として働きながら、関西大学の専門部法律学科で学び、在学中に弁護士試験にも合格しました。1915年には関西大学を卒業し、初の留学生としてアメリカに派遣されることになり、コロンビア大学で社会学と社会立法学を学びました。彼はまた、ドクター・オブ・フィロソフィーの学位を取得し、その後、国際的な視野を持つ学者としての基盤を築きました。

関西大学での業績

1921年に帰国した後、岩崎卯一は関西大学で初の専任教授として採用され、教育界での基盤を固めます。1934年には初代法文学部長に任命され、さらに1938年には初代図書館長として大学の発展に貢献しました。特に1947年には関西大学の学長に就任し、関西大学の「新制関西大学」を形成する上での指導者としての役割を担いました。彼は、「関大ルネッサンス」、「関大大家族主義」、「正義を権力より護れ」といったスローガンを掲げ、学問を通じて学生に影響を与えました。

岩崎はまた、関西大学の外部の教育機関との連携にも積極的であり、他の大学の学長や教授たちとの座談会を通じて、日本の高等教育における問題について意見を交換しました。これにより、彼は単なる学者にとどまらず、日本の教育界の発展に関与する重要な人物となりました。

晩年と著作

1958年、心筋梗塞により関西大学の学長を辞任し、健康に不安を抱えながらも学問に対する情熱は衰えることがありませんでした。彼は多くの著書を残しており、社会学や国家論に関する分野での知見を広めました。主な著作には『社会学の人と文献』（1926年）、『社会学序説』（1928年）、『国家現象の社会的理解』（1942年）、『国家の団体性』（1942年）、『現代国家学説』（1957年）、『社会学概論』（1957年）などがあります。

1960年、彼は68歳でこの世を去りましたが、その業績は後の世代にも大きな影響を与え続けています。彼の人生は、教育と社会に対する深い理解に満ちたものでした。

もう一度検索