岩崎吉一

岩崎吉一について

岩崎吉一（いわさき よしかず）は、1935年5月13日に福岡県北九州市八幡西区香月に生まれ、1994年6月13日に亡くなった日本の美術評論家です。彼は日本の近代美術、特に日本画と洋画に深い知識と情熱を持っていました。

生涯

岩崎は、1963年に学習院大学大学院の美学美術史博士課程を修了しました。その後、1961年から東京国立近代美術館に勤務し、企画資料課長、次長を歴任しました。この美術館での勤務を通じて、彼は日本の美術界の第一線で活躍し、多くの展覧会や研究プロジェクトに関わりました。1994年、在職中に肺癌のため、59歳という若さで亡くなりました。

業績

岩崎吉一は、美術評論家として数多くの著書を出版し、また画家の作品集の編集も手掛けました。彼の著書は、日本の近代美術史を研究する上で重要な資料となっています。特に、彼は日本画の巨匠である徳岡神泉や坂本繁二郎、平山郁夫など、多くの画家の作品と生涯を詳細に研究し、その業績を世に広めました。

彼の編著した書籍には以下のようなものがあります。

『徳岡神泉』（講談社、日本の名画24） 1973
『徳岡神泉』（集英社、現代日本の美術4） 1975
『坂本繁二郎』（中央公論社、日本の名画11） 1976
『ゴーガン』（池田満寿夫共著、小学館、世界美術全集21） 1977.2
『平山郁夫』（集英社、現代日本画全集18） 1980.9
『児玉希望 / 東山魁夷』（小学館、現代日本絵巻全集14） 1982.6
『福田平八郎 作品と素描』（河北倫明共編、光村図書出版） 1982.10
『高山辰雄』（講談社、日本画素描大観9） 1984.2
『近代日本洋画素描大系4 昭和2 戦後1』（講談社） 1985.1
『20世紀日本の美術 8』（東山魁夷, 福田平八郎, 原田平作共編、集英社） 1986.5
『20世紀日本の美術 13』（坂本繁二郎, 須田国太郎, 島田康寛共編、集英社） 1987.10
『美しい日本 風景画全集3 東京』（ぎょうせい） 1988.10
『動物たち / 風景』（学習研究社、加山又造全集1） 1990.4
『小茂田青樹画集』（尾崎正明共編、日本経済新聞社） 1990.6
『加山又造』（学習研究社、現代の日本画11） 1991.3
『昭和の日本画100選』（朝日新聞社） 1991.3
『日本の近代洋画』（小学館、名画と出会う美術館9） 1992.9
『杉山寧素描聚成』（尾崎正明共編、小学館） 1992.12
* 『定本 徳岡神泉画集』（朝日新聞社） 1993.5

これらの書籍は、岩崎の深い美術知識と研究に基づき、各画家の作品を多角的に捉え、その魅力を読者に伝えています。

没後

岩崎吉一の死後も、彼の業績は美術界に大きな影響を与え続けています。1995年には『近代日本画の光芒』（京都新聞社）が出版され、彼の研究の集大成として評価されています。岩崎吉一は、日本の近代美術史において、その功績が長く記憶されるべき人物です。

岩崎の活動は、単なる美術評論に留まらず、次世代の美術研究者や愛好家にとって重要な指標となっています。彼の研究は、今後も日本の美術史を語る上で欠かせないものとなるでしょう。

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