岩崎清七

岩崎清七の生涯と業績

岩崎清七（いわさき せいしち）は1865年に下野国都賀郡藤岡村（現在の栃木県栃木市藤岡町藤岡）で生まれました。彼は、家業が醤油醸造と米穀肥料商であったため、幼少期からこの商業の世界に親しんで育ちました。小学校を卒業後、郷里の鴎村学舎で漢学を学び、その後1880年に上京し、岡千刃の塾でさらに漢学を深めます。ここで、後の友人である片山潜と出会い、生涯にわたる親しい関係を築くことになります。

1882年からは片山が在籍していた攻玉社で数学を学び、1883年9月には慶應義塾に入学します。1884年2月、慶應義塾の斡旋によって渡米し、1885年6月にコーネル大学で政治経済を学ぶものの、これが自身の興味に合わないことに気づき、ニューヨークの領事である高橋新吉から法律学を勧められます。そして1887年6月、イェール大学で法律学を専修し、学位を取得後1889年に日本へ戻ります。

日本に戻った清七は、家業の米穀商および醤油醸造業を引き継ぎ、陸軍省との提携を進めます。その後、八茎鉱山の社長であった広瀬金七の協力を得て、磐城セメント（現在の住友大阪セメント）を設立しました。この業績は彼の実業家としてのキャリアの大きな第一歩となり、以降は、多くの企業の経営に関与することになります。日清紡績や日本製粉をはじめ、東京瓦斯の社長や全国実業協会の会長、大日本産業報国会の審議員など、数多くの役職を歴任しました。特に1919年には日本製粉の社長に就任しました。

また、岩崎清七は海を越えて国際的な視野を持つ実業家でもありました。1929年には、ジュネーブで開催された第12回国際労働会議に参加するため、長男の清一郎と共に欧米を視察しました。この視察旅行は、清七の国際的な視野を広げるとともに、当時の日本の商業環境における国際的な役割を認識する貴重な機会となったでしょう。

清七の業績は、日本の近代産業の発展に寄与しました。彼の経営手腕は多くの企業に影響を与え、特にセメント産業や食品産業におけるパイオニアとしての立場を確立しました。彼の情熱と努力は、今も多くの実業家にインスピレーションを与えているのです。1946年にその生涯を閉じるまで、清七は日本の実業界において大きな足跡を残しました。

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