岩本信一

岩本信一の生涯と業績

岩本信一（いわもと のぶかず）は、1921年1月26日に広島県三次市で生まれ、2000年1月20日に亡くなったプロ野球選手、コーチ、審判員です。彼はその人生の中で、数々のエピソードを残し、多くの人々に愛されました。岩本の兄、岩本義行は元祖神主打法で知られています。

現役時代の経歴

岩本は旧制広陵中学に在籍していた時期、主力投手ではなかったものの、1939年に明治大学へ進学しました。そこで谷沢梅雄監督のもと活躍し、大学野球の黄金時代を経験します。戦後は明電舎での活動を経て、1946年に広島鯉城園のノンプロチームに参加しました。この年は都市対抗野球大会に出場し、先発投手の後を継いでマウンドに上がりましたが、初戦で敗退しました。

その後、岩本は1947年に南海ホークスに入団しました。彼はカーブ、ドロップ、シュートを駆使し背番号7として先発投手として活躍しました。1948年には3完封を含む8勝を挙げ、チームの優勝に貢献しました。特に有名なのは、試合中にバッターに「奥さん、お元気ですか！」と声をかけるなど、観客を楽しませるユニークなスタイルです。また、同年には有名な「三原ポカリ事件」が発生し、この試合の先発にもなった岩本は、その情熱的な行動で印象を残しました。1949年には姫路球場で行われた試合で完封勝利を収め、打撃でも優れた成績を残しました。

1950年には新設された大洋ホエールズに移籍し、この年から球団の初代背番号1となりました。先発投手としてチームに貢献し、その後松竹ロビンスに移籍しましたが、現役を引退します。

引退後の活動

引退後、岩本はアマチュア野球の審判として活動しました。特に兄が経営する鉱山の関係もあり、東北地方に住むことになります。1953年には甲子園東北大会決勝で二塁線審を務め、試合では敗戦投手となりましたが、次世代の選手の素質を見抜く眼力があり、後に南海ホークスに入団する皆川睦雄の獲得を推薦しました。

さらに、1954年から1959年までパシフィック・リーグの審判を務め、特に1960年代には中日ドラゴンズでコーチや寮長として活動しました。彼は「中隊長」として親しまれ、選手たちに多くの愛情を注ぎました。寮長の職に就いた際は、リラックスした環境作りに尽力し、新人選手との交流も大切にしました。特に、そのユーモラスな性格から生まれるエピソードは数多く、彼の人柄を際立たせました。

彼の退団後も地域のスポーツ振興のために力を尽くし、明治大学の野球部OB会副会長にも就任し、野球界に貢献し続けました。岩本信一はそのキャリアを通じて、選手として、そして指導者として多くの人々に影響を与えた偉大な人物です。

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