岩沙弘道

岩沙 弘道

岩沙 弘道（いわさ ひろみち）氏は、1942年5月27日に愛知県名古屋市で生まれた日本の実業家です。慶應義塾大学で法学を修め、同大学院で法学修士の学位を取得しました。そのキャリアを通じて、三井不動産の経営を牽引したほか、日本の経済界や教育界においても重要な役割を果たしました。

経歴

幼少期を名古屋で過ごし、愛知学芸大学附属名古屋中学校、愛知県立明和高等学校を経て、慶應義塾大学法学部へと進みました。1965年に大学を卒業した後、さらに研究を深めるため大学院に進学し、1967年に法学研究科の修士課程を修了しています。

大学院修了と同年の1967年4月、三井不動産株式会社に入社しました。長年にわたり不動産事業の最前線で経験を積み、1997年には代表取締役専務取締役へと昇進しました。翌1998年には代表取締役社長に就任し、経営のトップに立ちました。その後、2001年には代表取締役社長社長執行役員、2011年には代表取締役会長会長執行役員と、会社制度の変遷に伴いその役職名を変えながらも、長らく三井不動産の経営を主導しました。2019年4月には代表取締役会長となり、2023年4月からは取締役として、引き続き同社の経営に関わっています。

財界・教育界での活動

岩沙氏は三井不動産の経営者としてだけでなく、日本の財界においても精力的に活動しました。2002年には経済同友会の副代表幹事を務め、経済政策提言などに貢献しました。また、日本の経済界を代表する団体である日本経済団体連合会（経団連）では、2008年に副会長に就任。さらに、2012年には審議員会副議長、そして2014年には審議員会議長という重責を歴任し、日本の産業界の意見集約や政策形成において指導的な役割を果たしました。

母校である慶應義塾に対しても深い関わりを持ち続けました。学生、大学院生として学んだ後、卒業生組織である連合三田会の名誉顧問を務め、また、最高意思決定機関である評議員会の議長を務めるなど、教育機関の運営にも貢献しています。

その他の役職と公職

企業経営や財界活動の他にも、岩沙氏は様々な組織でその手腕を発揮しました。2012年には東日本高速道路株式会社の非常勤取締役会長を務め、国のインフラ整備にも関与。また、2015年からは株式会社テレビ東京ホールディングスの取締役も務めています。

さらに、公共性の高い多くの役職を歴任しています。

経済危機克服のための有識者会合の委員
名橋「日本橋」保存会の副会長
不動産証券化協会の会長
不動産協会の会長
都市計画協会の副会長
公益財団法人三井文庫の代表理事・副理事長

これらの役職は、経済、都市開発、文化、研究といった幅広い分野における岩沙氏の貢献を示しています。

功績と栄誉

岩沙氏の功績の一つとして特筆されるのが、旧三井財閥の本拠地であり、三井不動産にとってもゆかりの深い東京・日本橋地区の再開発への取り組みです。歴史と伝統を継承しつつ、現代的な都市機能を取り入れた大規模な再開発プロジェクトを推進し、日本橋地域の活性化に貢献しました。

長年にわたる企業経営、財界における指導的役割、そして社会貢献活動が認められ、2017年4月には日本の最高位の勲章の一つである旭日大綬章を受章しました。

岩沙弘道氏は、不動産業界のリーダーとして、また経済界の要人として、日本の発展に大きな足跡を残した実業家です。その活動は多岐にわたり、都市開発から経済政策、教育、文化振興に至るまで、幅広い分野で影響を与え続けています。

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