岩田正俊

岩田正俊の生涯と業績

岩田正俊（いわた まさとし、1897年 - 1997年）は、日本を代表する昆虫学者かつ寄生虫学者として知られています。彼は近畿学校保健学会の会長を務め、長い研究人生の中で多くの重要な業績を築き上げました。

生い立ちと教育

岩田は島根県荒島町（現・安来市）で生まれました。1923年、彼は京都帝国大学の理学部動物学科に入学し、そこでは川村多実二教授のもとで学びました。当時、日本においては研究がほとんど進んでいなかったトビケラの幼虫に注目し、その研究を進めることになりました。彼のフィールドワーク場所は、鴨川や三井寺山内の細流など多岐にわたり、これらの調査結果は1927年から1930年にかけて発表された論文「日本産毛翅目研究」にまとめられました。

研究と成果

彼はこの論文で新しい属や種を多く発表し、和名も付け加えることで、日本における昆虫研究の発展に寄与しました。1927年には京都帝国大学を卒業し、大津臨湖実験所での研究を進めました。1930年には大阪医科大学に転して、寄生虫の研究を行うことになります。此処でも師の吉田貞雄から学び、1936年には「マンソン裂頭条虫の発育形態再生に関する研究」という論文で医学博士の学位を得ました。

さらに、戦時中には海軍からの依頼を受けて、ニューギニアやマレーシアにおける寄生虫の研究も行いました。これにより、実戦的な研究と実務経験を積むことができました。

教育者としての歩み

1950年、岩田は奈良学芸大学（現・奈良教育大学）の教授に就任し、生物学やその他の関連科目を教えました。学問の世界において、彼の指導を受けた学生たちは多肢にわたり活躍することとなります。1963年には同大学を停年退職し、島根大学医学部で講師として新たなキャリアをスタートさせました。

晩年と研究の継続

定年退職後は、故郷の安来に戻り、自宅に研究室を設けました。ここでも寄生虫の研究を行うと同時に、中海に飛来する白鳥の観察にも取り組みました。彼の研究活動は、生涯にわたって途切れることはありませんでした。

著書

岩田は数多くの著作を残しています。特に『水棲昆虫採集保存及研究法』（1928年）や、『人体寄生虫』（1949年）などの書籍は評価が高いです。また、他著者との共編による『山の生物』（1942年）、『海の生物』（1942年）、『野原の生物』（1943年）や、『顕微鏡で見る生物』（1943年）などもあり、彼の学問に対する情熱は見事に表現されています。

死去

岩田正俊は1997年に100歳で生涯を終えました。彼の業績は、昆虫学や寄生虫学の分野において日本国内外で今もなお語り継がれています。彼が残した多くの研究は、後進の研究者にも大きな影響を与えており、その功績は決して色あせることはありません。

もう一度検索