岩田誠

岩田誠 - 最高裁判所の判事としての功績

岩田誠（いわた まこと、1902年11月26日 - 1985年2月9日）は、日本の重要な司法界の人物であり、最高裁判所判事として多くの歴史的な判決に関与した。本籍は東京都で、東京帝国大学法学部を1925年に卒業後、法曹界での道を歩み始めた。彼は東京高等裁判所判事や静岡地方裁判所、静岡家庭裁判所の所長も務めた。

主要な経歴と功績

岩田氏は、1947年の最高裁発足時に最高裁判所調査官に就任し、その後、数々の重要な判決に関與した。特に彼が注目されたのは、松川事件に関連した諏訪メモの存在を指摘し、このメモが無罪判決の根拠となるきっかけを提供したことである。また、朝日訴訟では、多くの原告が訴訟終了を認める中、彼一人が訴訟の継続を求める意見を示した。このような姿勢は、彼がハト派として評価される所以ともなった。

1964年8月には、最高裁判事に就任し、以降多くの判決の裁判長として働いた。有名な青梅事件では、裁判長として第一審および第二審の有罪判決を覆し、その影響力を強く示したことが記憶に残る。

さまざまな事件への判断

岩田氏は、特に社会的な問題に対して鋭い判断を下してきた。例えば、悪徳の栄え事件においては、著作物の公表が社会に与える公益と、わいせつ性による弊害を比較し、社会全体にとっての観点から結論を出した。また全農林警職法事件では、労働基本権について独自の見解を示し、政治目的の争議行為を労働権の行使としては認めない立場を取り続けた。

1972年6月15日には、名張毒ぶどう酒事件において被告の上告を棄却し、その結果、被告の死刑が確定した。奥西勝は冤罪を訴え、生前に9度も再審請求を行うも認められることはなかった。これにより、最高裁判所における岩田氏の影響力の大きさと、司法の厳しさを象徴する事件となった。

定年退官とその後

1972年11月には定年退官し、その翌年には勲一等瑞宝章を授与された。在職中の彼の功績は多くの人々に認識されており、1985年に逝去するまで、その影響力は色あせることはなかった。

著作と評価

岩田誠は、著作も残している。1972年に出版された「ある裁判官の思索と意見」や1982年の「刑事裁判の諸問題 岩田誠先生傘寿祝賀」などがその代表作であり、これらは彼の司法思想と実践に関する貴重な資料となっている。

彼の司法活動は、ただ判決を下すことにとどまらず、法の運用と社会的責任を重視したものであり、日本の司法の発展に貢献した数少ない人物の一人であることは間違いない。

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