岩藤思雪

岩藤 思雪の生涯と業績

岩藤 思雪（いわとう しせつ、本名: 新三郎）は1879年に岡山県津山町で生まれ、日本映画の黎明期において欠かせない存在となりました。彼は活動弁士、映画監督、編集技師としての多彩な才能を持ち、その独自のスタイルで日本映画界に大きな影響を与えました。

来歴と初期の活動

思雪は1906年頃、M・パテー商会の「弁士養成所」に主任として加わります。高度な英語力とライティングスキルを活かし、活動弁士用の台本を多数執筆しました。この背景が彼の映画制作にも大きな影響を与えました。1910年代初頭、彼は映画監督としてデビューし、1909年5月23日に『日本桜』を発表しました。この作品は、後に高松豊次郎が撮影技師として関わったことで知られています。

そのあとも、彼は同年6月25日に『新不如帰』を監督しました。この映画は、日本初のカットバック技法を用いており、当時の無声映画の技術革新を象徴しています。また、栗島狭衣や栗島すみ子が出演した『新桃太郎』も手がけ、無声映画の発展に寄与しました。

1910年代後半とその後の活動

1912年、M・パテー商会は他の4社と合併し日活となった後、岩藤の動きは不透明になります。しかし1919年には、小林商会の依頼でD・W・グリフィス監督による『イントレランス』（1916年）の編集を行い、その際に作品のモンタージュ手法に独自の改変を加えました。さらに1920年には、アメリカ映画『あの丘越えて Over the Hill』を日本に輸入し、1923年に公開するなど、海外作品の導入にも貢献しました。

後年の業績と最期

1927年には『神の姿』という無声映画を制作し、原作、脚本、監督を務めました。この映画は岩藤自身の創作によって生まれた作品であり、当時の映画界における彼の存在感を際立たせました。その後、1937年には映画『不滅乃木』に解説を担当し、無声映画に「サウンド版」の形式を導入しました。こうした業績は、岩藤が日本の映画文化に与えた影響を如実に示しています。

岩藤はさらに「映音研究所」の文化映画部長に就任し、映画制作において様々な分野でその能力を発揮しましたが、彼は1938年3月28日に出張先の北京で亡くなりました。彼の息子、岩藤雪夫もプロレタリア文学の作家として名を馳せました。

代表的な作品

• - 日本桜（1909年・脚本・監督）
• - 新不如帰（1909年・監督）
• - 新桃太郎（1909年・監督）
• - 神の姿（1927年・原作・監督）
• - 不滅乃木（1937年・解説）

このように、岩藤思雪は日本映画の発展に多大な寄与をし、その業績は今なお多くの映画人たちに影響を与え続けています。

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