栗島すみ子

栗島すみ子の生涯と業績

栗島すみ子（くりしま すみこ、1902年3月15日 - 1987年8月16日）は、明治から昭和にかけて活躍した著名な日本の女優であり、日本舞踊水木流の家元としても知られています。彼女は日本映画界の初期において非常に人気のある女優の一人でした。

来歴

栗島は東京府豊多摩郡渋谷村で誕生し、父が亡くなった後、母の再婚先である川村家で育ちました。それから、新派俳優の栗島狭衣の養女として迎えられました。5歳の時に日本舞踊を始め、狭衣の師であった水木歌橘のもとで修行を重ねました。また、同じ年に父が主宰したお伽劇『うそつき爺い』で初舞台を踏みました。その後、1909年には映画『新桃太郎』にも出演し、演技の幅を広げました。

大正2年（1913年）、栗島は栗島狭衣一座の一員となり、巡業をしながら多くの舞台に立つようになります。しかし、母は彼女の将来を心配し、舞台から離れて日本舞踊の修行に専念させました。大正7年（1918年）には名取の名を得て、水木歌紅と名乗ります。

1921年には松竹蒲田撮影所に入り、映画デビューを果たしました。その後、初期の日本映画の多くで活躍し、特に岩田祐吉と共演した『生さぬ仲』などで人気を集めました。彼女は松竹のドル箱コンビとして知られるようになり、多くの悲劇作品のヒロインを演じました。特に、彼女が演じた役柄はしばしば「意地悪な姑にいじめられる嫁」や「誤解を受けて苦しむ娘」であり、ストーリーは悲劇的な結末を迎えることが多かったです。

女優としての全盛期

栗島すみ子は、その演技力と存在感によって初期の松竹蒲田のスター女優としての地位を確立しました。主に現代劇に出演し、多くの女優たちが尊敬する存在となりました。特に、彼女の演技に触れた女性たちには、共感を呼び起こす力を持っていました。

昭和4年（1929年）、松竹の幹部制度導入により、彼女は大幹部に昇進しますが、1935年に撮影所の移転に伴って引退を決意。最後の映画作品は1937年の小津安二郎監督による『淑女は何を忘れたか』でした。その後は日本舞踊の宗家「水木歌紅」として活動し続け、数多くの弟子を育てました。

昭和31年（1956年）には成瀬巳喜男監督の『流れる』に特別出演し、19年ぶりに映画界に復帰。この作品は彼女の友人である成瀬監督からの特別な頼みに応じて実現しました。セリフは覚えていなかったとされ、その姿は話題となりました。

栗島すみ子の人柄とエピソード

栗島は、松竹の時代に映画女優としての道を切り開いた重要な人物です。彼女の出演作は、多くが現代劇でありながら、そのほとんどが新派調の悲劇で構成されていました。観客からは「身につまされ紅涙をしぼる」と称され、多くの女性ファンの共感を呼び起こしていました。また、撮影中には岩田祐吉とのコンビが有名で、現実の結婚生活を隠しながらの人気は、松竹の巧妙な営業戦略でもありました。

彼女は、自身の不満を解消するために丸髷姿の写真を撮られるなど、当時の女優としてのプレッシャーと闘いながら、自らの道を歩んでいました。彼女の功績は、日本映画における女性キャラクターの描写に大きなインパクトを与えたことです。1987年に85歳で亡くなった栗島すみ子は、池上本門寺に眠っています。

もう一度検索