M・パテー商会

M・パテー商会の歴史と影響

M・パテー商会は、1906年に東京で設立された日本の映画会社で、日本最古の映画会社の一つとして名を馳せています。この会社は、様々な背景を持つ著名な創業者、梅屋庄吉によって設立され、今でも映画史にその名を刻んでいます。梅屋は長崎の貿易商で、香港で「梅屋照相館」を経営していた経験がありました。彼がフランスの映画プリントをシンガポールで入手し、1906年7月4日に「M・パテー活動写真商会」を設立することが、同社の始まりです。

「M」という社名は梅屋の頭文字であり、「パテー」はパテー社の名を使用しています。この会社に参加したスタッフの中には、撮影技師の岩岡巽が含まれていました。同年、社名を「M・パテー商会」に変え、岩藤思雪が主任として加入し、弁士養成所を設立します。岩藤らの手によって輸入された作品の翻訳と興行が行われ、その評判は次第に高まりました。

1908年には、俳優の中村歌扇が出演した劇映画の製作を開始し、同年に株式会社化しました。また、同年には新宿の大久保村に撮影所をオープンし、初の製作映画『大西郷一代記』が上映されると、急速に人気を博しました。この映画は、庄吉が中国革命の父、孫文を資金面で支援する目的で製作されたとされています。

1911年には、撮影技師の田泉保直が南極探検隊に派遣され、ドキュメンタリー映画『日本南極探検』を制作しました。この映画は1912年に公開されたもので、南極探検の様子を映し出しています。また、同年9月1日には、福宝堂、横田商会、吉沢商店との合併によって「日本活動写真株式会社」（後の日活）が設立されました。この合併により、M・パテー商会は閉鎖を余儀なくされましたが、梅屋はその後M・カシー商会を立ち上げて、撮影所を再稼働させました。

主な作品

M・パテー商会が製作した作品の中には、以下のようなものがあります。

• - 『旧劇 太功記十段目 尼ヶ崎の段』（1908年） - 現存する日本の作品。
• - 『日本桜』（1909年） - 岩藤思雪の脚本・監督によるもので、主演には関根達発が参加しています。
• - 『新不如帰』（1909年） - 同じく岩藤思雪が監督を務めました。
• - 『新桃太郎』（1909年） - 主演には栗島狭衣と栗島すみ子が起用されています。
• - 『噫無情』（1910年） - 日本初の『レ・ミゼラブル』の翻案映画として知られています。
• - 『大前田英五郎』（1911年）
• - 『水戸黄門』（1912年）
• - 『日本南極探検』（1912年） - 現存するドキュメンタリー映画。

まとめ

M・パテー商会は、日本映画界において重要な役割を果たした企業であり、その歴史的な影響は今日に至るまで大きく残っています。彼の功績は、映画の発展のみならず、いくつかの重要な社会的背景とも結びついています。特に、梅屋庄吉が孫文を支援したことは、映画が持つ可能性を広げるきっかけにもなりました。日本映画の歴史を語る上で、M・パテー商会の存在は欠かせないと言えるでしょう。

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