岬の兄妹

映画『岬の兄妹』

2019年3月1日に公開された日本映画『岬の兄妹』は、片山慎三が監督、脚本、編集、製作などを多岐にわたって手掛けた作品です。英題は『Siblings of the Cape』。そのセンセーショナルな内容からR15+指定を受けています。

ストーリー

物語の舞台は、日本のとある地方にある寂れた港町です。主人公は、足にハンディキャップを抱え、さらに勤務先を解雇されたばかりの兄・良夫。彼は、自閉症の特性を持つ妹・真理子と二人きりでひっそりと暮らしています。良夫は妹のたび重なる家出癖に常に頭を悩ませていました。

ある日、いつものように姿を消した真理子が、夜遅くなっても帰宅しません。心配して探し回った良夫がようやく妹を見つけ出したとき、彼は衝撃的な事実を知ることになります。真理子が、町の男性に身体を許し、その対価として現金を受け取っていたのです。この出来事を目の当たりにした良夫は、極度の貧困と絶望的な状況から、倫理的に許されないある選択を考え始めます。それは、妹のその行為を一家の生活を支える手段として利用する、ということでした。良夫の苦渋の決断は、兄妹の関係、そして彼らを取り巻く世界を大きく揺るがしていきます。

キャスト

主要な登場人物を演じたキャストは以下の通りです。

道原良夫：松浦祐也
道原真理子：和田光沙
溝口肇：北山雅康
中村：中村祐太郎
白木：岩谷健司
溝口弥生：時任亜弓
坂本：ナガセケイ
タケ：松澤匠
ホームレスの男：芹澤興人
くにお：荒木次元
老人：杉本安生
産婦人科医・松本：風祭ゆき（特別出演）

幼少期の良夫を萱裕輔、幼少期の真理子を中園さくらがそれぞれ演じています。

スタッフ

監督だけでなく、脚本、編集、製作、プロデューサーも兼任した片山慎三をはじめ、本作を支えた主なスタッフは以下の通りです。

音楽：髙位妃楊子
撮影：池田直矢、春木康輔
美術：松塚隆史
録音：西正義、日高成幸、大塚学、植田中、藤丸和徳、加藤大和
整音・効果：高島良太
衣装：百井豊
メイク：外丸愛、金森麻里
助監督：藤井琢也、斎藤和裕、岡部哲也、上別府僚
医療指導：刈谷育子
編集協力：片岡葉寿紀
題字：堀向恵翠
制作協力：原田耕治
配給：プレシディオ
配給協力：イオンエンターテイメント、デジタルSKIPステーション
宣伝：太秦

受賞歴

『岬の兄妹』は国内外の映画祭で高い評価を受け、数々の賞を受賞しました。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018 国内コンペ部門：優秀作品賞、観客賞
第41回ヨコハマ映画祭：新人監督賞（片山慎三）、2019年日本映画ベストテン 第8位
第34回高崎映画祭：最優秀新進女優賞（和田光沙）
映画芸術 2019年日本映画ベストテン：第8位
第29回日本映画プロフェッショナル大賞：ベストテン 第3位
* 第29回日本映画批評家大賞：新人監督賞（片山慎三）

本作は、厳しい現実社会の片隅で生きる人々の姿を容赦なく描き出し、観る者に倫理観や家族のあり方について深く問いかける作品として、大きな反響を呼びました。

もう一度検索