岸千恵子

岸千恵子：津軽民謡を全国に響かせた情熱の歌姫

生い立ちと民謡との出会い

岸千恵子は、1942年3月26日に青森県南津軽郡碇ヶ関村（現在の平川市）に生まれました。幼い頃からその才能を発揮し、7歳で初舞台を踏むと、「津軽の天才少女」と称されるようになりました。民謡の世界に足を踏み入れた彼女は、その天性の歌声と表現力で周囲を魅了しました。

結婚と歌手活動の再開

結婚を機に一時的に歌手活動を休止していましたが、1975年に現役歌手として復帰。その後は、津軽民謡の第一人者として全国的に活動を展開しました。彼女の独特なパフォーマンススタイルである「ゆさぶり民謡」は、歌いながらステージを所狭しと動き回るダイナミックなもので、多くの観客を魅了しました。このスタイルは、二日酔いの状態で歌ったことがきっかけで生まれたという逸話も残っています。

「千恵っ子よされ」と全国的なブレイク

1985年には、自身の故郷である津軽への想いを歌った演歌「千恵っ子よされ」がヒットし、全国的な知名度を獲得しました。その後、1988年には民謡歌手としてNHK紅白歌合戦に出場し、「津軽じょんがら節」を熱唱。その圧倒的な歌唱力とパフォーマンスは、多くの視聴者の心を掴みました。

還暦を過ぎても、その鍛え抜かれた喉と「ゆさぶり民謡」は健在で、観客を魅了し続けました。また、その気さくな人柄が表れる津軽弁のトークも人気があり、多くのファンに愛されました。

ユニークなキャラクターとテレビ出演

岸千恵子のユニークな歌いぶりは、テレビ番組でも話題になりました。フジテレビの『ものまね王座決定戦』では、清水アキラにものまねされ、その後、『オールスター爆笑ものまね紅白歌合戦!!』では、本人も登場して歌声を披露しました。さらに、後番組の『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』では、中島マリにものまねされた際にも本人が登場し、その歌い方を披露しています。この時、司会を務めていた東野幸治は、岸の歌い方を見て、ものまねが大袈裟ではないかと疑っていましたが、実際にはその通りだったことに驚いたというエピソードが残っています。

また、「クイズダービー」に出演した際には、三択問題で三択以外の解答を書いてしまうなど、そのお茶目な一面でも視聴者を楽しませました。

晩年と死

2011年12月9日午後8時30分、急性肺障害のため東京都渋谷区の病院で亡くなりました。享年69歳。彼女の戒名は響応院千譽妙樂大姉です。

代表曲

千恵っ子よされ（1985年1月）：20万枚を売り上げたヒット曲。
お米ありがとう音頭：全国農業協同組合中央会（JA全中）・全日本民踊指導者連盟推薦曲。農林水産省、食糧庁長官、農産園芸局長による推薦コメントがジャケットに記載されており、1992年4月発売。同年7月までに1万枚を売り上げ、企画物としては異例のヒットを記録しました。

主なテレビ出演

笑っていいとも（1987年10月 - 1988年9月）：木曜日担当。
月曜ドラマスペシャル 塀の中の懲りない面々4（1989年12月18日、TBSテレビ）：慰問役。

NHK紅白歌合戦出場歴

1988年（昭和63年）/第39回 - 17/20 「津軽じょんがら節」

関連事項

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岸千恵子は、その情熱的な歌声と独自のパフォーマンススタイルで、津軽民謡を全国に広めました。彼女の魂を揺さぶる歌声と、愛すべき人柄は、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。

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