岸田幸雄

岸田幸雄（きしだ さちお）

岸田幸雄（1893年2月24日 - 1987年10月16日）は、日本の政治家および実業家で、兵庫県知事や参議院議員として活躍しました。彼は京都府に生まれ、学業を終えた後には、官僚ではなく民間企業へと進む道を選びました。特に大阪商船でのキャリアや、その後日本電力における職務が彼の基盤を築きました。

経歴と早年期

岸田は1893年に山口県士族の三男として京都で生まれました。第三高等学校を卒業し、1916年に京都帝国大学法科を修了した後、高等文官試験に合格します。しかし、官僚にはならずに大阪商船に就職。1920年には国際労働者会議に日本の使用者代表として参加し、その後は大阪海上火災保険に転職して支店長を務めました。1926年には日本電力に営業部長として入社し、終戦時には電気工事協会の会長に就任するなど、電力業界で重要な役割を果たしました。

兵庫県知事時代

1946年、岸田は公職追放を受けた斎藤亮の後任として兵庫県知事に就任。1947年の統一地方選挙では、当選して公選初代知事となりました。彼の知事在任中には、戦後の復興に尽力し、兵庫県民歌の制定を提案しましたが、多くの混乱も経験しました。

特に、1948年の朝鮮学校封鎖事件では、連合国軍最高司令官総司令部の指示に従い、県下の朝鮮学校に対して封鎖命令を発出しました。この事件は、「阪神教育事件」として知られ、岸田は暴徒に監禁された際、非常事態宣言によって救出されました。

その後の1951年には知事選に再選されますが、同年吉川副知事との「お家騒動」が発生し、内部告発問題に直面します。岸田はその混乱の責任を取り、任期を残して辞任することとなりました。これにより同年の選挙は予想外の結果となり、他の候補が当選する結果に至りました。

参議院議員時代

知事職を失った岸田は、電源開発の副総裁に就くなどの一方で、1959年の参議院兵庫県選挙区補欠選挙に自民党公認で立候補し当選します。その後、様々な役職を歴任し、1967年には大蔵政務次官に任命されました。しかし、1968年の選挙では落選し、政界から引退を表明しました。

晩年と影響

岸田は政治家引退後も様々な役職を務め、1987年に95歳で死去しました。彼の生涯には、数々の功績とともに不祥事もあり、兵庫県における知事としての評価は複雑です。「兵庫県民歌」制定の事実も長らく県として認められなかったなど、彼の知事としての記憶は現在でもあまり語られません。彼の家族には、実業界やスポーツ界での著名な人物が多く存在しました。妻は大阪鉄工所の社長を務めた山岡順太郎の三女でした。

岸田幸雄は、戦後日本の政治史において特異な存在であり、その活動は兵庫県の地方政治に大きな影響を与えました。

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