岸義人

岸義人について

岸義人（きし よしと、1937年4月13日 - 2023年1月9日）は、日本とアメリカ合衆国で著名な有機合成化学者であり、特に天然物化学の分野で多くの功績を残しました。彼は愛知県名古屋市に生まれ、戦争の影響で岐阜県美濃加茂市に疎開して過ごしました。岐阜県立加茂高等学校を卒業後、1961年に名古屋大学理学部を修了し、その後農学部では助教授としてのキャリアをスタートさせました。

1974年にはハーバード大学の教授として招聘され、以降その名声を確立させました。ハーバード大学においては、名誉教授としても活動し、2010年からは名古屋大学の特別教授としても教鞭を執りました。岸氏は1970年代から海洋産天然物の研究を行い、特に1966年に取得した理学博士の論文では「ウミホタルルシフェリンの構造とその全合成」を発表しています。

主な研究と功績

彼はパリトキシン、マイトマイシン、テトロドトキシン、ハリコンドリンBなど、さまざまな天然物の全合成を成功させるなど、天然物化学における驚異的な業績を重ねました。また、エーザイ社と共同で乳がん治療薬「エリブリン」の開発にも関与し、その成果は多くの患者に影響を与えました。

岸義人はその優れた業績により、数多くの賞を受賞しています。特に、1980年にはアメリカ化学会から「ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry」を受けたほか、1999年には日本学士院賞・恩賜賞を受賞しました。また、文化功労者としての栄誉や、瑞宝重光章の受章もあり、彼の業績と貢献が広く認められています。

最晩年と死去

岸氏は2023年1月9日に脳梗塞により、マサチューセッツ州の病院で85歳という生涯を閉じました。彼の死は、多くの研究者や学生にとって大きな損失であり、天然物化学の発展に多大な影響を与えた業績は今後も語り継がれていくことでしょう。

関連項目

岸義人の研究は、野崎・檜山・岸反応などの化学反応にも関連しており、名古屋大学やハーバード大学といった教育機関における彼の業績は、後の世代に大きな影響を与えています。

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