仁礼功太郎

仁礼功太郎：明治から平成を駆け抜けた俳優の生涯

仁礼功太郎（にれ こうたろう、1901年12月5日 - 1998年9月13日）は、日本映画史に名を刻むベテラン俳優です。東京の左官業の家に生まれ、生家は3男1女の大家族でした。1914年に小学校を卒業した後、俳優の道を歩み始めます。

華麗なる俳優人生の幕開け：舞台から映画へ

1919年、仁礼功太郎は市川九蔵（後の九代目市川團蔵）に入門。市川若猿の内弟子となり、「市川 若三郎」の芸名で浅草の劇場で初舞台を踏みました。その後、兵役を経て嵐雛升の劇団に参加し、地方巡業を経験します。1927年、市川九蔵の一門に復帰すると、奈良県にある市川右太衛門プロダクションに入社。「春日 陽二郎」と改名し、押本七之助監督の『侠骨漢 笑ふな金平』で映画デビューを果たしました。同年、大町麗子と結婚。二人の間には4男1女をもうけました。1929年には、伊藤大輔監督の『一殺多生剣』に出演するなど、着実にキャリアを積んでいきます。

日活、大映での活躍：時代劇スターへの道

1931年、仁礼功太郎は日活太秦撮影所に入社。当初は「春日陽二郎」名義で活動していましたが、1935年に「仁礼 功太郎」と改名。稲垣浩監督の『千両礫』が、この芸名での最初の作品となりました。戦時統合により日活京都撮影所は大映京都撮影所となり、仁礼功太郎も大映に籍を移します。第二次世界大戦後も俳優活動を続け、沢田清らと地方巡業を行いました。

東映、そしてテレビドラマへ

1951年、東映設立と同時に同社に入社。数々の時代劇作品に出演し、確固たる地位を築きます。1963年にフリーランスとなり、1967年にはテレビドラマに進出。1970年に69歳で引退しました。

映画史に刻まれた足跡：フィルモグラフィ

仁礼功太郎のフィルモグラフィは膨大です。市川右太衛門プロダクション、日活、大映、東映と、主要な映画会社で活躍しました。時代劇を中心に、多くの作品で重要な役柄を演じ、名脇役として時代劇黄金期を支えました。主な出演作品には、『鼠小僧旅枕』『千両礫』『血煙高田の馬場』『黒田騒動』『十七人の忍者』などがあります。これらの作品の中には、現在も東京国立近代美術館フィルムセンターなどに現存する貴重なフィルムも含まれています。

晩年と家族、そして未来への繋がり

晩年は京都で過ごしました。1998年9月13日、96歳でこの世を去りました。彼の才能は、俳優としてだけでなく、その親族にも受け継がれています。岸野雄一氏（音楽ユニット「ヒゲの未亡人」で知られる）は、仁礼功太郎の大甥にあたります。

仁礼功太郎は、数多くの作品に出演し、日本の映画史、特に時代劇において大きな足跡を残した俳優です。彼の功績は、これからも多くの人々に記憶され、語り継がれていくでしょう。彼の出演作品は、日本の映画史を研究する上で欠かせない貴重な資料となっています。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになる可能性を秘めています。

もう一度検索