峰刃幾叉丸

峰刃 幾叉丸（みねやいば きしゃまる）は、1999年3月26日生まれ、埼玉県草加市出身の現役大相撲力士です。本名を伊藤 周（いとう ちかし）といい、錣山部屋に所属しています。身長189.0cm、体重148.5kgと恵まれた体格を持ち、血液型はAB型です。実弟の翔大夢も同じ錣山部屋の力士として活躍しています。これまでの最高位は東幕下4枚目で、2023年3月場所で記録しました。

アマチュア時代から角界へ

峰刃が相撲に親しみ始めたのは、草加市立谷塚小学校の3年生の時。地元の草加相撲練修会で稽古を開始しました。小学校4年次には、わんぱく相撲全国大会でベスト8に進出するなど早くから頭角を現し、5年次と6年次にも同大会に出場しています。草加市立谷塚中学校に進学すると、柔道部に所属しながらも相撲大会にも積極的に出場。中学3年次には、全国都道府県中学生相撲選手権大会で8強入りという実績を残しました。

中学校卒業後は、相撲の強豪校として知られる柏日体高校（現・日体大柏高校）のアスリートコースへ進学。1年生の頃から団体戦のメンバーとして土俵に立ち、3年生の時には高校総体の個人戦でベスト8に進出するなど、輝かしいアマチュア時代のキャリアを築きました。その後、東京農業大学へ進みますが、2年次の2018年7月に大学を中退し、角界入りを目指すことになります。

大学中退後、草加相撲練修会の監督が20代錣山親方（元関脇・寺尾）と同じ高校の出身だったという縁を通じて、錣山親方から直接勧誘を受けました。この導きにより、錣山部屋への入門を決意。2019年3月場所で初めて本場所の土俵に上がりました。この時の同期には、時疾風、北の若、吉井、大辻といった、現在も各段で活躍する力士たちがいます。

プロでの歩みと度重なる試練

前相撲、序ノ口、序二段と順調に番付を上げ、2020年9月場所で新幕下へ昇進を果たしました。その翌場所となる11月場所では、持ち前の相撲で初日から白星を重ね、6連勝と快調なスタートを切りました。しかし、7番相撲で竜虎に敗れ、惜しくも幕下優勝はなりませんでした。続く2021年1月場所では、東幕下14枚目まで番付を上げましたが、2勝5敗と初の負け越しを経験します。

この時期、峰刃は四股名を「嶺刃 常乃助（みねやいば じょうのすけ）」に改名しましたが、その矢先、試練が訪れます。改名後の最初の場所となる2021年3月場所前に、稽古中に網膜剥離を発症し、手術を受けることになりました。このため、この場所は全休（記録上は1敗6休）となり、新しい四股名で土俵に上がることは叶いませんでした。結局、「嶺刃」の四股名は一場所限りとなり、次の5月場所から現在の「峰刃 幾叉丸」へと再び改名しています。

さらに2022年3月場所前にも、稽古中に眼窩底骨折に見舞われ、再び全休を余儀なくされました。度重なる大きな怪我は、力士としてのキャリアに大きな影響を与えましたが、峰刃は不屈の精神で治療とリハビリを経て土俵に戻ってきました。復帰後、2022年11月場所では再び幕下上位で奮闘。初日から6連勝と優勝争いに加わりましたが、またしても千秋楽の一番（相手は玉正鳳）に敗れ、二度目の幕下優勝の機会を逃しました。

四股名に込められた想い

一場所だけ名乗った「嶺刃 常乃助」という四股名には、特別な由来があります。大師匠にあたる元関脇・鶴ヶ嶺（14代井筒親方であり、20代錣山親方の父）の「嶺」の一字と、20代錣山親方が愛読しているという漫画『鬼滅の刃』から取られた「刃」の一字が組み合わされたものです。しかし、この四股名で迎えた場所を怪我で全休したこと、そして験を担ぐ意味合いも込めて字画診断を受けた結果が「凶」と判定されたことから、刃の字を残しつつも字画を考慮した「峰刃 幾叉丸」へと改名することになりました。

成績と今後の展望

2025年5月場所終了時点での通算成績は133勝85敗34休（37場所）です。怪我による長期休場があったにも関わらず、着実に白星を積み重ねています。特に、直近の2025年5月場所では序二段で7戦全勝の成績を収め、自身初となる各段優勝（序二段優勝）を飾りました。これは度重なる困難を乗り越え、再び上位を目指す峰刃にとって大きな自信となるでしょう。

最高位である東幕下4枚目まで番付を上げた経験もあり、実力的には十両昇進も射程圏内です。今後、怪我なく相撲に集中できれば、更に上の番付での活躍が期待されます。粘り強い相撲と、試練を乗り越えてきた経験を活かし、大銀杏を結う日を目指して土俵に上がり続けます。

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