島々駅

島々駅について

島々駅（しましまえき）は、かつて長野県東筑摩郡波田町（現在の松本市波田）前渕に位置していた、松本電気鉄道（現在のアルピコ交通）上高地線の駅です。かつては上高地線の終点であり、上高地方面へのバスが駅前から発着するなど、登山客や観光客で賑わっていました。

歴史

1921年（大正10年）に一部が開通した筑摩鉄道は、翌1922年（大正11年）9月26日に島々駅まで延伸し全線が開通しました。当初、鉄道免許は梓川上流の「竜島」までありましたが、工事の困難さから島々駅が終点となりました。

北アルプス登山や上高地・乗鞍高原観光の出発点として、多くの人々が利用しました。駅名は、安曇村（現在の松本市安曇）の登山基地としての知名度と、山岳観光への入り口としてのイメージから「島々駅」と名付けられました。実際の島々集落は、島々駅から西へ約2kmほど離れた場所にあります。

しかし、1965年（昭和40年）に隣の赤松駅が梓川3ダム工事の資材運搬拠点となり、1966年（昭和41年）にはバスターミナルが整備され新島々駅と改称されました。これにより、新島々駅 - 島々駅間の利用者は減少しました。

さらに、1983年（昭和58年）には台風10号による土砂災害で線路が不通となり、復旧されることなく1985年（昭和60年）に廃止されました。駅舎は1988年（昭和63年）春に解体され、跡地はバスの転回所として利用されています。

駅構造

島々駅は1面2線の島式ホームを持ち、構内踏切を渡ってホーム端から出入りする構造でした。他に側線が1線ありました。

駅周辺

駅周辺には、安曇保健福祉センターや前渕集落、大野田の芝桜などがあります。また、国道158号（野麦街道）や長野県道278号大野田梓橋停車場線が通っており、アルピコ交通の「前渕」停留所も近くにあります。

廃止後

駅舎跡と駅前広場は更地となり、かつて線路があった場所には国道が付け替えられました。ホームがあった場所は、「前渕」停留所の西側道路上となっています。

新島々駅以西の廃止区間の一部は留置線として使用されていますが、その先は車止めでレールが途切れています。御岳社付近は土砂災害が発生した場所です。

松本市波田観光案内所

登山者などから島々駅の復元を望む声が高まり、1991年（平成3年）に波田町（現在の松本市）が松本電鉄に残されていた図面を基に、新島々駅の向かいに「波田町観光案内所」を建設しました。この建物は、当時の島々駅の駅舎を再現したもので、出札口や待合室などが忠実に再現されています。

観光案内所は、1階が観光案内所と特産物直売所、2階がギャラリーまたは工芸品作業所として利用されていました。しかし、2016年（平成28年）4月1日に供用廃止され、建物は2022年（令和4年）に解体されました。現在は、「新島々駅パークアンドライド駐車場」として使用されています。

隣の駅

松本電気鉄道上高地線では、新島々駅の隣に島々駅がありました。

まとめ

島々駅は、かつて上高地への玄関口として多くの人々に利用されましたが、路線の廃止とともにその姿を消しました。しかし、その歴史は、復元された観光案内所によって今も語り継がれています。駅の跡地を訪れることで、かつての賑わいを感じることができるでしょう。

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