島原夏海

島原夏海は、大阪を拠点に活動する女優、劇作家、演出家であり、一般社団法人無名劇団の代表を務めています。劇団では、役者としての出演はもちろん、演出や脚本も担当し、その才能を発揮しています。

大阪で生まれ育ち、大阪大学大学院文学研究科修士課程を修了。文部科学省認定ワークショップデザイナー育成プログラムの修了生でもあります。NPO法人大阪現代舞台芸術協会DIVEの元理事であり、現在は一般社団法人日本演出者協会関西ブロック役員を務めるなど、演劇界の発展にも尽力しています。

演劇との出会いは15歳の頃。演劇部の顧問をしていた母親の影響で、関西小劇場演劇の世界に足を踏み入れました。母親が卒業生たちと立ち上げた無名劇団には、17歳で入団。2009年から2014年までの間、前代表の退団により劇団の活動は実質休止状態となりましたが、2015年に島原が中心となり、新たなメンバーを迎え活動を再開させました。この時、島原が二代目代表に就任し、以降、劇団の全作品の演出と、近年ではメインで脚本を手掛けるようになりました。

代表就任後、初の作品となった『無名稿 あまがさ』は、應典院舞台芸術祭 space×drama 2015にて優秀劇団に選出され、翌年の同芸術祭では演出賞を受賞。日本演出者協会主催「近代戯曲を読む2017」では、倉田百三作『出家とその弟子』の演出を担当。平成29年度アイホール次世代応援企画 break a legにて上演された『無名稿 侵入者』では、演出と主演を務めました。

2017年からは、自身の体験を基に、悲しみや葛藤、共依存関係や死生観をテーマにした脚本を多く手掛けるようになります。祖母との葛藤を描いた半自伝的戯曲『私戯曲 りんごのうた』は、日本劇作家協会新人戯曲賞の一次選考を通過しました。2021年度には、スペイン風邪流行期のアーティストの苦悩を描いた『波高けれども晴天なり』が、第35回テアトロ新人戯曲賞にて最終候補2作に選出されるなど、劇作家としての評価も高めています。

また、島原は地域に根ざした活動にも力を入れています。2021年には、大阪市西成区の鶴見橋商店街の空き店舗を劇団員とともにアトリエに改装。劇場での上演だけでなく、アトリエでの小作品の上演や、西成区鶴見橋を舞台にした劇場公開映画『ボンバイエ！』の撮影、監督・脚本を手掛けるなど、西成区の活性化にも貢献しています。

昭和歌謡を好み、レトロでシュールな世界観を作品に取り入れているのも特徴です。また、猫好きとしても知られ、現在は3代目となる保護猫と暮らしています。

島原夏海は、その多才な才能と情熱で、大阪の演劇界を牽引する存在として、今後の活躍が期待されています。

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