島山島 (長崎県五島市)

島山島の概要

島山島（しまやまじま）は、長崎県五島列島の福江島の南西に位置する有人離島です。五島市玉之浦地区に属し、面積は約5.53平方キロメートルで、五島列島の岛の中では10番目の大きさを誇ります。島は複雑なリアス海岸を形成する玉之浦湾の湾口に位置し、福江島の最西端に突出する玉之浦半島の奥部と向かい合っています。

自然環境

島内は傾斜が著しく、開発はほとんど行われていません。南北に細長く伸びる島の西岸には、高さ約100メートルの急峻な海食崖が広がり、これに対して東岸は美しいリアス海岸に恵まれています。北端の黒瀬崎から南の荒汐崎にかけては、昼寝ケ浦や浅切湾、黒小浦、雁泊などの入り江が存在し、自然の美しさが際立つ地域です。

特に島の北部に広がる浅切湾には、九州でよく見られる亜熱帯植物のハマジンチョウが豊かに生育しています。また、過去には自然記念物・ヘゴの大木も存在しましたが、現在は倒木となってしまいました。島には、人口よりも遥かに多い450頭から700頭のキュウシュウジカが生息しており、向小浦園地付近では時折シカの姿も観察できます。島民はわずか30人程度で、かつては東岸にも住民が住んでいましたが、現在は南岸の向小浦集落に集まっています。

交通手段

交通については、かつては玉之浦港から島までの渡船がありましたが、1994年に玉之浦大橋が完成してからは陸路でのアクセスが可能となりました。この橋により、五島市の中心部である福江から向小浦までのバスが運行されています。なお、簗口瀬戸は浅いため、橋の完成前には干潮時に小学生が歩いて学校に通うこともありました。

歴史

島の北部には大日如来を模した石造宝塔があり、その成立年は1367年とされていますが、詳細は不明です。この宝塔は歴史的にも貴重な遺品と考えられており、五島列島が日明貿易の中継地であった時代の名残を感じさせます。江戸時代には福江藩に属し、島山村としての記録も残されています。

向小浦の島民は、19世紀初頭に西彼杵半島から移住してきた隠れキリシタンの末裔と伝承されており、昭和30年代には教派神道の大本教に改宗しました。住民の生活は昔は農業が中心でしたが、現在は漁業にシフトしており、特に養殖や一本釣りの漁業が主な収入源です。

向小浦の住民は、周囲の集落に比べ、外部とのつながりが比較的強いとされています。開放的な環境で、訪れる人々にとっては貴重な交流の場ともなっています。島山島はその独特な自然と豊かな歴史、そして活気ある島民の文化が調和した、特別な場所と言えるでしょう。

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