日明貿易

日明貿易とは

日明貿易（にちみんぼうえき）は、室町時代に行われた日本と明（中国）との公式な貿易を指します。この貿易は、室町幕府や大内氏などの朝貢貿易の形式で展開されました。その特徴的な点は、倭寇や密貿易と異なり、明からの正式な許可を受けた遣明使船によって行われたことです。貿易のためには、勘合符という通行証が用いられましたが、これは外交使節に対するものであり、あくまで貿易許可証とは言えないため、その呼称は問題視されています。

歴史的背景

この貿易の始まりは、足利義満が1396年頃に対明貿易の利益を聞きつけ、1401年に肥富や僧祖阿を明へ派遣したことから始まります。これにより日本と明の間での国交と通商が確立され、1401年から1549年までの間に19回にわたって貿易が行われました。

勘合の制度は、1404年から導入され、貿易を行う者に制限が加えられました。また、1432年には宣徳条約が結ばれ、貿易の回数や手続きが定められました。勘合は、特定の文書に基づき、日明間の取引を円滑に行うために重要な役割を果たしました。

貿易の実態

この貿易では、公式な経路を通じて、明からは生糸や織物、書物などが輸入され、日本からは銅や硫黄、扇子、刀剣、漆器などが輸出されていました。日本の銅は、明に比べて高値で売られ、その背景には明における銅不足があったとされています。

日本の商人たちは、明政府によって必要な商品を買い上げられる公貿易に参加しながら、私的な貿易も好んで行っていました。遣明船に同乗する商人たちは、持ち帰った輸入品の1割を「抽分銭」として納付する義務がありました。これにより、彼らは利益を得ていったのです。

政治的側面

明は、この貿易を単なる商取引ではなく、皇帝と臣下諸王の朝貢を含む形式として捉えていました。つまり、室町幕府は明皇帝から「日本国王」として冊封を受けており、これが天皇に対する反逆行為であるとも言える状況が生じていました。義満は、国内の支配権の確立のためには、こうした名分を捨ててまで実利を求めていたのです。

しかし、義満の死後、他の将軍たちはこの商業的関係の是非を問うこととなり、1411年には貿易が一時停止されました。これにより、日本国内での医療や商業の認識が高まり、新たな貿易の形態へのシフトが図られることになりました。

終焉とその後

日明貿易は、1536年に大内義隆が再開するも、1551年にその義隆が滅ぼされると大内氏の権威が失墜しました。この結果、公貿易は終了し、以降は倭寇や私貿易が主流となり、明の海禁政策の緩和に伴い、民間貿易が盛んになっていきました。

このように、日明貿易は日本と中国の交流に多大な影響を与え、さらには文化や経済においても重要な役割を果たした歴史的な出来事であると言えます。

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