島本融

島本融について

島本融（しまもと とおる）は、1904年1月31日に京都府綴喜郡青谷村で生まれ、1976年5月5日に亡くなった日本の著名な大蔵官僚および銀行家です。彼は北海道銀行の初代頭取を務めたほか、公正取引委員会の委員や日本銀行政策委員会の委員など、数々の重要な職務を担ってきました。さらに、札幌交響楽団の母体となる札幌市民交響楽団の設立にも寄与し、地域の文化向上に貢献しました。

人物と経歴

島本融は、裕福な家系に生まれました。彼の父は、島本銀行を設立した事業家であり、このことが男の金融に対する興味を引き起こしました。三高を経て、京都帝国大学の経済学部に入学し、在学中に金融界への進出を決意しますが、金融恐慌により家業が失敗。最終的には大蔵省に入省し、そこでキャリアをスタートさせました。

彼は理財局に配属され、その後、各税務署の署長や欧州駐在を経て、戦後の日本経済の復興に尽力します。1950年には長沼弘毅大蔵事務次官から北海道銀行の初代頭取に就任するよう打診され、これを受け入れました。

北海道銀行での業績

島本が頭取として取り組んだ最初の課題は人材の確保でしたが、その過程で東京採用組と北海道採用組の間に軋轢が生じ、数名が開業前に銀行を離れる事態もありました。さらに資本金集めにも苦しみ、1951年3月の開業は遅れをとりました。しかし、営業開始後には道内各地から支店設置の要請が寄せられ、同年12月までに37店を開設。1953年には北海道拓殖銀行から24店を譲り受けるなど、店舗ネットワークの整備を急速に進めました。

島本は合理主義を重んじ、銀行経営においてコミュニケーションの大切さを強調しました。辞令や出勤簿の廃止、虚礼の排除などがその一端です。これにより、道銀は1960年代には道内預金シェアや融資シェアを20%に達成し、成長を遂げました。1965年には本店ビルの竣工とともに、店舗数も70店を超え、島本は会長に退いて後事を藤野重夫に託しました。

文化・芸術への貢献

島本は金融以外にも、芸術に対する理解と貢献もありました。若いころから書くことを好み、多数の論文を寄稿し著書も執筆しました。特に彼は札幌市民交響楽団の設立にも寄与し、道銀創立10周年の際には楽器購入資金として500万円を拠出しました。また、彼自身が副理事長として団体を支え、荒谷正雄との親交を通じて地域の音楽文化を凧煽りました。

家族と後世

島本融の長男・島本禮一もまた著名人で、日本銀行調査局長や日本輸出入銀行副総裁を歴任しました。女婿の富田朝彦も多くの要職に就いており、政治・経済界において影響力のある家族です。彼の業績や想いは、今なお根付いており、北海道銀行や文化の発展に大きな足跡を残しています。

最後の年

1976年に亡くなった島本は、その功績を讃えられ、北海道厚生年金会館にて告別式が営まれました。札幌交響楽団の演奏とともに、多くの人々が彼の生涯をしのび、別れを告げました。

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