島泉丸山古墳

島泉丸山古墳・島泉平塚古墳（雄略天皇陵）

島泉丸山古墳（しまいずみまるやまこふん）、別名高鷲丸山古墳（たかわしまるやまこふん）は、大阪府羽曳野市島泉に位置する円墳です。古市古墳群を構成する重要な古墳の一つであり、その規模は古市古墳群の中でも最大級の円墳として知られています。

宮内庁はこの古墳を、隣接する島泉平塚古墳（しまいずみひらつかこふん、別名：高鷲平塚古墳）と合わせて「丹比高鷲原陵（たじひのたかわしのはらのみささぎ）」として、第21代雄略天皇の陵墓に治定しています。しかし、実際の被葬者については、考古学的な調査が進んでいないため、確定的なことはわかっていません。

概要

古墳は羽曳野丘陵の北端に位置し、直径約75メートル、高さ約8メートルを測ります。二段構造の墳丘を持ち、周囲には周濠が巡らされています。出土した埴輪や須恵器などから、古墳時代中期の5世紀後半頃に築造されたと推定されています。古市古墳群の中で唯一の大型円墳である点が特徴です。

現在、宮内庁の管理下にあるため、本格的な発掘調査は行われていません。そのため、埋葬施設や副葬品に関する詳細は不明です。

歴史的経緯

江戸時代から、丸山古墳を雄略天皇陵とする記述が見られます。例えば、延宝7年（1679年）の『河内鑑名所記』には、そのように記されています。

元治元年（1864年）には、館林藩主の秋元氏によって修陵が行われ、平塚古墳が雄略天皇の前陵として陵域に取り込まれました。明治18年（1885年）には、丸山古墳と平塚古墳の間が盛土によって繋げられ、全体が前方後円形に整形されました。

その後も、宮内庁による整備や調査が継続的に行われています。近年では、1974年、1998年、2010年度にも調査が実施され、その成果が報告書として公開されています。

島泉平塚古墳

島泉平塚古墳は、丸山古墳の東南東約100メートルの場所に位置する方墳です。一辺約50メートル、高さ約8メートルで、2段または3段の築成とされています。

丸山古墳と同様に、宮内庁によって雄略天皇陵の一部として管理されていますが、古墳であることを示す明確な遺構や出土品は確認されていません。2010年度のトレンチ調査でも、その痕跡は見つからなかったため、古墳としての存在自体に疑問を呈する説も存在します。

被葬者論

宮内庁は丸山古墳と平塚古墳を合わせて雄略天皇陵としていますが、実際の被葬者は不明です。

『古事記』や『日本書紀』には、雄略天皇の陵墓に関する記述があり、その所在地や陵墓の破壊に関する逸話が記されています。また、『延喜式』には、丹比高鷲原陵に関する記述があり、その規模や管理に関する情報が記載されています。

丸山古墳を雄略天皇陵とする説は、地名が丹比郡高鷲原であることに由来しますが、古墳の形状や規模が他の天皇陵と異なる点から異論も出ています。近年では、岡ミサンザイ古墳を真の雄略天皇陵とする説も提唱されています。

もし丸山古墳が本当に雄略天皇陵であるならば、雄略天皇は倭の五王の一人である武に比定される可能性もあり、中国南朝の影響を受けた先進的な大王であったと考えられます。

陪塚

宮内庁は、丸山古墳の陪塚として、以下の古墳を指定しています。

* 飛地い号（隼人の墓）: 丸山古墳の北方に位置する方墳で、『日本書紀』に記された雄略天皇に殉死した隼人の墓であると伝えられています。一辺約20メートルの方墳とされますが、詳しい内容は不明です。江戸時代から隼人の墓とする伝承があり、歯痛の神として信仰されています。

まとめ

島泉丸山古墳・島泉平塚古墳は、宮内庁によって雄略天皇陵に治定されていますが、実際の被葬者や古墳の形状については、様々な議論があります。今後の調査によって、新たな事実が明らかになることが期待されます。

もう一度検索