島津久敏

島津久敏（しまづ ひさとし）

島津久敏は、江戸時代前期に活躍した薩摩藩の武士であり、大隅国垂水（現在の鹿児島県垂水市）を治めた垂水島津家の5代目当主です。

生涯

1602年（慶長7年）6月3日、垂水島津家4代当主・島津久信の長男として誕生しました。幼名は菊袈裟丸といいました。母は島津家久の三女で、島津豊久の姉にあたります。父の久信は、島津義久の外孫として宗家の後継候補の一人でしたが、義久の婿養子である忠恒（後の島津家久）と家督を争いました。

1609年（慶長14年）、幕府の証人として江戸に下りました。1616年（元和2年）に、父・久信が自身の重臣を手討ちにしたことが原因で、忠恒から不行跡を理由に隠居を命じられ、代わりに久敏が家督を相続することになりました。この時、垂水島津家は家中において「脇の惣領」と呼ばれ、宗家に次ぐ高い家格を誇っていました。

しかし、1624年（寛永元年）10月13日、久敏は江戸で亡くなりました。享年23歳という若さでした。

久敏には弟の久章がいましたが、垂水家を継ぐことは許されませんでした。1629年（寛永6年）、忠恒の三男である忠直（後の久直）が久敏の跡継ぎとして定められ、垂水の仮屋に入りました。しかし、1633年（寛永10年）に忠直が北郷家を相続することになったため、翌1634年（寛永11年）5月には、忠直の同母弟である忠紀が新たに垂水家の後継者とされました。

1637年（寛永14年）に父・久信が亡くなると（毒殺説もあります）、忠紀が正式に家督を相続しました。

人物・逸話

島津久敏は、若くして家督を継承したものの、23歳という若さで亡くなったため、その生涯は比較的短命でした。しかし、その短い期間の中で、垂水島津家の当主として重要な役割を担いました。

久敏の死後、後継者問題が起こり、最終的には弟の忠紀が家督を相続することになります。この経緯からも、当時の島津家における家督相続の複雑さがうかがえます。

参考文献

* 『垂水市史』第1巻　垂水市史編集委員会、1973年

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