島津久信

島津久信の生涯

島津久信は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、薩摩国島津氏の分家である垂水島津家の2代目当主です。彼は、天正13年（1585年）に大隅国清水城で生まれました。父は島津以久、母は不明です。

若年期と所領の変遷

文禄4年（1596年）に鹿屋・大姶良を中心に8千石余を賜り、慶長2年（1597年）には鹿屋の一ノ谷城に移りました。その後、慶長8年（1603年）には祖父である島津以久が徳川家康から佐土原を与えられた際、以久は本領の垂水を久信に譲り、久信は慶長9年（1605年）に垂水城に移り、鹿屋も兼領することとなりました。

佐土原を巡る騒動

慶長15年（1610年）に祖父の以久が亡くなると、徳川家康は佐土原を久信に与えようとしましたが、久信はこれを固辞しました。その結果、以久の三男である島津忠興が佐土原藩主を継ぐことになりました。

居城の移動と島津宗家との関係

慶長16年（1611年）には、居城を垂水城から林之城（現在の垂水市立垂水小学校）に移しました。また、島津宗家16代当主である島津義久には男子の跡継ぎがおらず、義久の三女・亀寿と島津忠恒（家久）の間にも子供がいなかったため、義久は外孫である久信を後継者の一人と考えていました。しかし、家臣たちの反対によって、この話は実現しませんでした。

隠居と晩年

久信は、嫡子である久敏の廃嫡を画策しましたが、それを諫めた重臣を手討ちにしたことで、元和2年（1616年）に隠居を命じられ、家督を久敏に譲りました。その後、寛永14年（1637年）に鹿屋で53歳で亡くなりました。遺体は鹿屋の安善寺に葬られましたが、昭和46年（1971年）に垂水心翁寺跡の垂水島津家墓所に改葬されました。

島津久信の生涯は、領地の変遷や家督相続問題、そして島津宗家との関係など、様々な出来事に翻弄されたものでした。彼の決断や行動は、当時の社会情勢や武士のあり方を反映しており、歴史を深く理解する上で貴重な手がかりとなります。

参考文献

* 「垂水領主島津家家譜」『垂水市史料集（六）』垂水市教育委員会、1985年3月

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