島津久敬

島津久敬は、文政12年（1829年）に、今和泉島津家第10代当主である島津忠剛の次男として生まれました。母は島津久丙の娘お幸で、幼名は巌熊と名付けられました。通称は又七郎、造酒、主殿といいました。妻は小松清穆の六女です。同母兄に島津忠冬、同母妹に天璋院（篤姫）がいます。

天保11年（1840年）に元服し、その後、嘉永6年（1853年）に永吉島津家の島津久陽の養子となりました。永吉島津家は、薩摩藩の藩祖である島津義久の弟、島津家久を祖とする家柄です。久陽の妻は、久敬の祖父（ただし父忠剛の養父）である島津忠喬の妹にあたり、久敬にとっては義理の大叔母にあたります。しかし、久敬は永吉家の家督を継ぐことはなく、藩家老の島津登から養嗣子として久籌を迎えています。

永吉島津家の系図には、「慶応4年没、廃嫡。実は永吉で余生を送る」と記されています。しかし、安政2年にはすでに久籌の家督が承認されているため、久敬が本当に慶応4年に亡くなったかどうかは定かではありません。このため、久敬の晩年については謎が多く残されており、様々な推測がなされています。

このように、島津久敬は、名門島津家の一員でありながら、養子に出されたり、家督を継がなかったりと、複雑な境遇に置かれた人物でした。彼の生涯は、幕末という激動の時代における、武士の生き方の一つの側面を映し出していると言えるでしょう。

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