島津家文書

島津家文書

島津家文書は、平安時代末期の惟宗忠久を初代とする島津氏が、約700年もの長きにわたり代々伝えてきた古文書群です。その総数は15,133通にも及び、政治、外交、社会経済、家督相続など、多岐にわたる内容を網羅しています。この文書群は、中世から明治時代にかけての日本の歴史を深く理解するための、非常に重要な資料として位置づけられています。

歴史的背景と保存

島津家文書は、その長い歴史の中で、幾度かの危機を乗り越えてきました。西南戦争の際には、鹿児島城（鶴丸城）から桜島へと船で避難し、戦火を逃れました。また、第二次世界大戦中には、軍の空襲を避けるために長野県へと疎開し、戦禍を免れています。このように、数々の困難を乗り越え、1955年から1957年にかけて東京大学に譲渡されました。

現在、島津家文書は東京大学史料編纂所に保存されており、その学術的な価値から国宝に指定されています。この文書群は、武家文書の中でも特に優れたものとして「武家文書の白眉」と称され、研究者だけでなく、歴史に興味を持つ多くの人々にとって貴重な資料となっています。

内容と特徴

島津家文書には、島津氏の歴史だけでなく、当時の社会や文化に関する多くの情報が含まれています。例えば、政治的な決定や外交交渉の記録、経済活動に関する詳細な記録、家督相続に関する文書などが含まれており、当時の社会構造や人々の生活を知る上で非常に重要な手がかりとなります。

文書の形式も様々で、書状、覚書、記録など多岐にわたり、当時の文書作成技術や、記録文化を垣間見ることができます。これらを通して、島津氏がどのような社会の中で、どのように活動していたかを具体的に理解することが可能です。

関連事項

玉里文庫

島津家文書と関連する資料として、玉里文庫があります。これは、28代島津斉彬の弟である島津久光が分家した玉里島津家に伝わる旧蔵書の総称です。本家の資料ではありませんが、玉里島津家は本家と深い繋がりがあり、玉里文庫もまた島津家の貴重な資料として扱われています。一部は1952年の火災で失われてしまいましたが、現在は黎明館で管理・展示されています。

薩藩旧記雑録

また、薩藩旧記雑録も島津家や薩摩藩の歴史を理解する上で重要な資料です。これらの資料と合わせて島津家文書を研究することで、より多角的な視点から歴史を考察することが可能となります。

島津家文書は、日本の歴史を理解する上で欠かせない重要な文化遺産であり、その保存と研究は今後も継続されることが期待されます。

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