崔善愛

崔 善愛（チェ・ソンエ）について

崔善愛（チェ・ソンエ、최선애）は、1960年に兵庫県で生まれた在日韓国人のピアニストであり、父は牧師であり人権活動家である崔昌華です。音楽家としての活動をする傍ら、彼女は社会的な活動にも積極的に取り組んできました。

学歴と音楽活動

崔は1979年に愛知県立芸術大学音楽部器楽科に入学し、1985年にその大学院でピアノの修士課程を修了しました。その後、1986年から3年間、アメリカのインディアナ大学大学院で留学に励みました。しかし、帰国時に指紋押捺を拒否したため、日本への再入国が許可されず、成田空港での出国時に永住資格を失うという厳しい状況が待っていました。

1988年に一時帰国した際には、法務大臣から180日間の特別在留許可を得ましたが、その後、日本政府に対して再入国不許可の取り消しを求める訴訟を起こしました。しかし、同年には最高裁判所で敗訴が確定しました。この事例は「崔善愛事件」として知られ、1999年には日本政府が外国人登録法を一部改正し、2000年には再び特別永住者として認められることとなりました。

社会活動と思想

ピアニストとして活動を続けた崔は、2008年に音楽芸術家協会に所属しながら、コンサートの収益を反権力人権基金に寄付するなど、社会貢献にも情熱を注いでいます。2009年には、指紋押捺拒否の背景や「国と個人」というテーマについて根津公子との共著で発言し、自身の経験をもとに表現の自由や人権についての意義を考察しました。

また、2011年には「新しい歴史教科書をつくる会」が作成した教科書の不採択運動に参加し、自国への愛を教えることの重要性について訴えました。「よその国を愛しなさい」という教育方針に対して疑問を呈し、自己愛と愛国心の大切さを強調しました。

2012年には反原発の運動にも関わり、講演や演奏会を通じて意識啓発に努めました。

主な活動と影響

崔善愛は2010年に韓国併合100年の共同行動に呼びかけたことがあり、2011年には「新しい歴史教科書をつくる会」に対抗する運動で在日韓国人の立場から意見を述べました。2016年には植村裁判を支える市民の会の共同代表に就任し、自身の信念に基づいて社会的な問題に立ち向かっています。

著書と共著

彼女はまた、多くの著書を執筆し、自身の考えや経験を広く共有しています。著作には『「自分の国」を問いつづけて―ある指紋押捺拒否の波紋』や『父とショパン』、『ショパン―花束の中に隠された大砲』などがあります。共同著書としては、『クリスチャンとして「憲法」を考える』や『秘密保護法の日本と教会』などもあり、幅広いテーマについて考察を行っています。

結論

崔善愛は、音楽活動を通じてだけでなく、社会的な発言や活動を通じて、多くの人に影響を与えてきました。その一歩一歩は、彼女自身の人生を豊かにするだけでなく、周囲の人々にも新たな視点や気づきを与えるものです。今後の活動からも目が離せません。

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