嵐の大洋

嵐の大洋（あらしのたいよう）

嵐の大洋は、月の表側に位置する広範な海の一つであり、その広さは月の海の中で最も広大です。この海は、南北において約2,500キロメートルにもわたって広がっています。マグマが冷えて固まった洪水玄武岩に覆われており、これが月の表面の特徴的な地形を形作っています。

地理的特徴

嵐の大洋の周囲には、数多くの湾や小さな海が形成されています。特に、南部には「雲の海」や「湿りの海」があり、これらの場所には独自の地質や地形があります。また、北東部にはカルパチア山脈を挟んで「雨の海」が広がっており、嵐の大洋と接しています。これらの地域は、それぞれが異なる特性を持ちながら、嵐の大洋と相互に影響を与え合っています。

探査と研究の歴史

これまでに、嵐の大洋には複数の無人探査機が着陸しています。サーベイヤー1号、サーベイヤー3号、ルナ9号、ルナ13号に加え、アポロ12号もこの地域に足を踏み入れました。これらの探査ミッションは、月の地質や環境を理解するために重要な結果をもたらしました。

特に注目すべきは、2009年10月に宇宙航空研究開発機構（JAXA）が行った「かぐや」のミッションです。この探査機が撮影した画像の解析から、嵐の大洋西部にあるマリウスの丘に、地下の溶岩トンネルに通じる縦穴（マリウスヒルズホール）が初めて発見されました。この穴の直径は約65メートル、深さは約80から90メートルに達し、その底部は370メートルほどの横幅を持つ溶岩トンネルへと繋がっています。この発見は、月の地質活動や構造について新たな知見を提供しています。

火山活動の証拠

さらに、2014年にアメリカのマサチューセッツ工科大学などの研究チームによって、嵐の大洋が火山流出物によって形成されたとの証拠が示されました。これにより、この地域の成り立ちや、月の過去における火山活動の可能性についての理解が進んでいます。

このように、嵐の大洋は月の探査や地球外科学の観点から見ると非常に興味深い地域であり、その地質学的な研究は続けられています。今後の探査によって、さらに多くの謎が解明されることが期待されています。

関連項目

• - プロセラルム盆地

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