嵐山城

嵐山城（嵯峨城）

嵐山城は、現在の京都市西京区嵐山山頂に位置していた、戦国時代の山城です。約500年前、山城国葛野郡に築かれ、当時は嵯峨城とも呼ばれていました。西京区内で確認されている十数か所の城郭址の中でも、峰ヶ堂城と並び比較的規模が大きいことで知られています。

特徴

嵐山城跡には、幅100メートルにも及ぶ広大な曲輪や、三か所に設けられた工夫を凝らした堀切など、山城ならではの特徴的な構造が残っています。丹波へと続く山並みを背景に、渡月橋を見下ろす尾根筋に位置しており、嵐山や松尾だけでなく、京都の中心部まで見渡せるほどの絶景が広がります。

ただし、城址は京都一周トレイルの西山コースからは外れた場所に位置し、分岐道も多いため、訪れる際には注意が必要です。かつて利用できた法輪寺、岩田山（モンキーパーク）、大悲閣からのルートは、現在では閉鎖されているか、あるいは痕跡がほとんど残っていません。

歴史

嵐山城は、応仁の乱の頃に築かれたと考えられています。永正年間には、山城国の守護代官であった香西元長が本格的に使用しました。

香西元長は、臨時の年貢取り立てに応じなかった村々を焼き払ったことが原因で、上官である室町幕府の管領・細川政元から咎めを受け、嵐山城に逃げ込んだという逸話が残っています。

永正4年（1507年）に発生した細川政元の後継者争い（永正の錯乱）の際、政元の謀殺を知った三好之長らの軍勢（細川澄元擁立派）が京都へ向かう動きに対抗するため、細川澄之擁立派が嵐山城で籠城の準備を始めました。しかし、その2か月後、香西元長は西岡部落の人々（西岡衆）から攻撃を受け討ち死にしてしまいます。これ以降、嵐山城は史料に登場することはなくなりましたが、細川政元の後継とされる細川晴元（澄元の子）らによって使用された可能性も指摘されています。

蔵王神社城跡

嵐山山頂から桂川にかけての標高120メートルの尾根上には、平坦面を削り出した城跡が確認されています。これは蔵王神社城跡と呼ばれ、嵐山城の出城であった可能性も指摘されています。

所在地

京都府京都市西京区嵐山元禄山町

参考文献

中井均・仁木宏編著『京都 乙訓・西岡の戦国時代と物集女城』文理閣、2005年。

関連項目

日本の城一覧
* 永正の錯乱

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