嵩忠雄

嵩忠雄（かさみ ただお）は、1930年4月12日に神戸市で生まれ、2007年3月18日に生涯を閉じた日本の計算機科学者です。彼の研究は、符号理論、形式言語理論、計算理論といった情報科学の根幹をなす分野に多大な影響を与えました。

大阪大学で電気工学を学んだ嵩は、1958年に学士号、1960年に修士号を取得し、1963年には工学博士号を取得しました。博士論文のテーマは「情報抽出および組織符号に関する研究」でした。彼はその後も大阪大学に残り、教育と研究に尽力し、1990年から1992年には工学部長を務めました。1992年からは奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授として、後進の指導にあたりました。1998年からは広島市立大学情報科学部教授として、情報科学の発展に貢献しました。

2007年3月18日、嵩は膵臓癌のため、大阪市中央区の病院で逝去しました。彼の訃報は、情報科学界に深い悲しみをもたらしました。

嵩の業績は数多くの賞によって称えられています。彼はIEEEフェローであり、1999年には情報理論分野で最も権威あるクロード・E・シャノン賞を受賞しました。この賞は、情報理論における卓越した貢献を讃えるものであり、嵩の業績の大きさを物語っています。また、1986年には電子情報通信学会の業績賞、2001年には同会の功績賞を受賞し、2003年には大川賞（大川電子通信基金）と高柳記念賞（高柳記念電子科学技術振興財団）を受賞しています。

嵩の貢献は、情報科学の基礎理論の発展に大きく寄与しました。特に、符号理論におけるKasami code（カサミ符号）の研究は、実用的な誤り訂正符号の設計に重要な影響を与えました。また、形式言語理論においては、CYK法（Cocke-Younger-Kasami法）としても知られる構文解析アルゴリズムの開発に貢献しました。これらの業績は、現代の情報通信技術や計算機科学の発展に不可欠な基盤となっています。

嵩の残した功績は、多くの研究者や技術者にインスピレーションを与え続けています。彼の研究は、情報科学の分野において、永続的な遺産として受け継がれていくでしょう。

主な受賞歴

1986年: 電子情報通信学会 業績賞
1999年: クロード・E・シャノン賞（IEEE情報理論ソサイエティ）
2001年: 電子情報通信学会 功績賞
2003年: 大川賞（大川電子通信基金）
2003年: 高柳記念賞（高柳記念電子科学技術振興財団）

関連事項

CYK法
* Kasami code

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