嵯峨ノ島

嵯峨ノ島の概要

嵯峨ノ島（さがのしま）は、五島列島の福江島から北西に約4km、東シナ海に位置する島です。長崎県五島市に属し、2010年時点での人口は161人です。島の大部分は西海国立公園の特別保護地区または特別地域に指定されており、自然を大切にした環境で生活が営まれています。また、島にはカトリック教会と伝統的な念仏踊り「オーモンデー」が共存している点も特筆されます。

自然

嵯峨ノ島の面積は3.16平方キロメートルで、南北約3.3km、東西約1.3kmの大きさです。周囲は約9.5kmで、特徴的な形から「ひょうたん島」とも呼ばれています。北側には男岳（標高151m）、南側には女岳（標高130m）の二つの火山があり、これらは裾野で繋がっています。島の地質は主に玄武岩質溶岩と凝灰岩で構成されており、海岸はほとんどが海食崖または転石海岸です。特に男岳・女岳を挟む西岸は、火山の内部構造が露出しており、火山海食崖として知られています。この景観は1959年に長崎県の天然記念物に指定され、学術的にも重要な地域となっています。集落の西側には千畳敷と呼ばれる断崖があり、ここでは火山噴出物の積層を観察することができます。植生は、主に照葉樹林ですが、草原には海浜植物も見られます。

歴史と民俗

嵯峨ノ島はかつて流人の島、そして平家の落人の隠れ家として知られていました。その名称は京都市の嵯峨野に由来するという伝説もあります。かつて、1521年には五島列島の領主宇久家に関連する反乱が起き、その終結を迎えるために玉之浦納が自刃した歴史があります。この小さな島には今も小野神社があり、玉之浦納が祀られています。1641年には異国船の見張り番所が設置され、1647年まで日本最西端として機能しました。この時代は福江藩の流刑地でもあり、多くの移住者がこの島にやってきました。

20世紀の中頃まではサツマイモを主とする農業が盛んでしたが、交通コストや潮風の影響で次第に衰退しました。現在は漁業が島の主な産業となり、漁港には大型漁船も多く停泊しています。また、毎年8月14日には「オーモンデー」という伝統の念仏踊りが行われ、1960年には長崎県の指定無形民俗文化財、そして1971年には国の選択無形民俗文化財に認定されています。

生活とアクセス

島の集落は、東岸に位置し、三井楽半島に面する浅い入り江を中心に形成されています。カトリック教会の嵯峨島天主堂や、診療所、学校など、地域の生活インフラがあります。集落の外には、西海国立公園区域内の展望台や遊歩道が整備されており、観光にも利用されています。

島へのアクセスは、福江島の貝津港から定期船「さがのしま丸」に乗ることで簡単に可能です。約15分の航路で、1日3往復（学校がある日に4往復）運航しています。ただし、台風や悪天候の影響で欠航が多いため、訪問計画は事前に確認が必要です。島内には高等学校がないため、中学校を卒業した子供たちは島外へ進学することが一般的です。

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