巖本真理

巖本真理（いわもと まり）

巖本真理（1926年1月19日 - 1979年5月11日）は、日本の女性ヴァイオリニストとして知られています。彼女は、その才能と情熱的な演奏で、多くの人々に感動を与えました。

生涯

巖本真理は、教育者の巌本善治と若松賤子の長男である巌本荘民とアメリカ人巌本マーグリートの間に、東京西巣鴨で生まれました。出生時の戸籍名は巖本メリー・エステルでしたが、後に巖本真理と改名しています。

幼い頃から音楽の才能を発揮し、6歳からヴァイオリンを小野アンナに師事しました。しかし、ハーフであることによる差別や病弱なこともあり、1935年に私立帝国小学校を4年生で中退しています。その後は、自宅でヴァイオリンの英才教育を受けました。

1938年4月、13歳という若さで第6回日本音楽コンクールで1位を獲得し、「天才少女」として注目を集めました。1939年11月11日には、レオ・シロタの伴奏で第一回独奏会を開き、その才能を広く知らしめました。1942年には、英語が敵性語とされたことを受け、真理と改名しています。

1946年、20歳で東京音楽学校教授に就任しますが、1950年に辞職して渡米。帰国後、演奏活動を再開し、数々の賞を受賞しました。1959年には芸術選奨文部大臣賞、芸術祭奨励賞、1964年には民放祭最優秀賞、1965年にはブラームスの室内楽曲の全曲連続演奏を行い毎日芸術賞を受賞。1966年には「巖本真理弦楽四重奏団」を結成し、1970年にレコード・アカデミー賞、1971年に再度芸術選奨賞、1974年にはモービル音楽賞を受賞しました。

1977年に乳癌に罹患し、手術を受けるも再発。1979年5月11日、53歳という若さで生涯を閉じました。彼女は、日本初の室内楽定期演奏会を94回も開催するという偉業を達成しました。

彼女の墓所は、豊島区駒込の染井霊園にあります。

功績

巖本真理は、ヴァイオリニストとしての卓越した才能に加え、教育者、室内楽奏者としても多大な功績を残しました。彼女の演奏は、情感豊かで、聴衆を魅了しました。また、後進の育成にも熱心に取り組み、多くの音楽家を育てました。

受賞歴

1938年：第6回日本音楽コンクール第1位
1959年：芸術選奨文部大臣賞、芸術祭奨励賞
1964年：民放祭最優秀賞
1965年：毎日芸術賞
1970年：レコード・アカデミー賞
1971年：芸術選奨賞
1974年：モービル音楽賞

参考文献

山口玲子『巖本真理 生きる意味』（新潮社）
巖本真理の著作物(サイニーCiNii)

外部リンク

国立国会図書館歴史的音源
ロマンス 第2番（ヘ長調 作品50）1
ロマンス 第2番（ヘ長調 作品50）2
* 1950年9月。作曲:ベートーヴェン、指揮:齋藤秀雄、ヴァイオリン:巖本真理、演奏:東京交響楽団。

もう一度検索