川上久利

川上久利（かわかみ ひさとし）

川上久利は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、島津氏に仕えました。永禄元年（1558年）に川上久隅の子として生まれ、天正2年（1574年）に島津義久に拝謁して以降、島津氏の武将として活動しました。

文禄の役と帰国

文禄の役では、島津義弘に従い朝鮮へ渡海しましたが、戦の途中で独断で帰国するという行動に出ました。この行動は、当時の武将としては異例であり、彼の評価を大きく下げる要因となりました。本来、彼は父・久隅の後を継ぎ川上氏の家督を継ぐ立場でしたが、この勝手な帰国が父の怒りを買い、弟の久通が家督を継ぐこととなりました。

その後の不遇と家督

弟の久通は、慶長3年（1598年）に朝鮮で病死しましたが、久利の素行はその後も改善されることはありませんでした。慶長4年（1599年）に発生した庄内の乱の際には、家臣が諫めても、主君からの出兵命令に応じようとしませんでした。これらのことから、父の久隅は久利を庶流とし、川上氏の家督は久通の子である久貞が継承することになりました。この一連の出来事は、彼が武将としての責任感に欠けていたことを示唆しています。

晩年

晩年は不遇であったと推測されますが、寛永17年（1640年）に83歳で死去しました。彼の生涯は、武将としての能力はあったものの、その行動が評価を大きく下げたという点で、教訓的な側面を持つと言えるでしょう。

参考資料

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集(13)　（鹿児島県史料刊行委員会）

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