川島理一郎

川島 理一郎の生涯と業績

川島理一郎は、1886年3月9日に栃木県足利市で誕生しました。彼の芸術の道は早くから開かれ、1905年にはアメリカに渡り、ワシントンのコーコラン美術学校に入学します。1910年に同校を卒業し、ニューヨークのナショナル・アカデミー・オブ・デザインでは特待生として学び、その際に褒状も受けました。

1911年、彼はフランスに渡り、パリのアカデミー・ジュリアンやアカデミー・コラロッシで学びました。彼の在学中の1912年には、サロン・ドートンヌで入選を果たし、当時のフォーヴィスムやキュビスムの影響を受けながら、パブロ・ピカソや藤田嗣治との交流を深めていきます。しかし、1915年に第一次世界大戦が勃発すると、赤十字に参加し、その活動中に体調を崩し、西ヨーロッパからスペインへと移ります。

その後、アフリカやモロッコを訪れた後、1919年に帰国し、その際には個展を開催しました。1920年には再びフランスに渡り、1922年までの2年間、サロン・ドートンヌに作品を出品するなど、活発な創作活動を行いました。しかし、彼がヨーロッパから持ち帰った200点の作品は、1923年の関東大震災で全て失われてしまいます。

1926年、川島は梅原龍三郎と共に「国画創作協会第二部」を設立し、後に国画会と名を改めます。ここでは積極的に出品活動を行いましたが、1935年に同会を脱会。その後、1936年からは女子美術学校の教授に就任し、翌年には文展の審査員に任命されるなど、教育者としても活動を始めました。

1938年、彼は陸軍の従軍画家となり、中国北部や南部に派遣されました。従軍期間中でも文展への出品を続け、1939年には陸軍美術協会の発起人の一人となります。この年には同じく陸軍の勤務をしながら、満州国の皇帝への贈呈画も手掛けるなど、注目を集める存在となりました。1944年には『新生比島建設』を制作し、陸軍美術展に出品。しかしその作品は、戦後に連合国軍によって軍国主義的なとして没収され、アメリカに移送されることとなります。

1948年には日本芸術院第一部の会員に選出され、1949年からは日展運営会の理事、1958年には日展理事に就任します。1965年には勲三等瑞宝章を受章し、1969年には日展の顧問を務めました。彼は1971年10月6日、85歳でこの世を去るまで、日本の美術史に深い足跡を残しました。彼の業績や影響は、今なお多くの美術家に受け継がれています。

著書と画集

川島は多くの著書や画集も残しており、1926年の『最新油絵の描き方』をはじめ、1933年の『川島理一郎画集』、1936年の『旅人の眼』、1947年の『緑の感覚』、1952年の『美術の都・パリ』など、彼の芸術に対する情熱と知識が詰まった貴重な作品が数多く存在します。彼の呪術的な作品群は、今も多くの人々に影響を与え続けているのです。

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