川崎小虎

川﨑小虎の生涯と作品

川﨑小虎（かわさき しょうこ、1886年5月8日 - 1977年1月29日）は、日本画の第一人者として知られる岐阜県生まれの画家です。彼の本名は中野隆一であり、後に川﨑姓に改名しました。彼の芸術は、人間の感情や周囲の自然との関係を深く描写することに特徴があります。

幼少期と教育

小虎は、岐阜県庁で働く中野金之助とその妻あゆの長男として育ちました。幼少期から実母方の祖父、川﨑千虎に大和絵を教わり、その影響を受けて成長しました。祖父が佐賀県有田町で陶芸学校の校長を務めるようになると、小虎はその専科で絵画や図案を学びます。1902年に祖父が亡くなると、彼は千虎の弟子であった小堀鞆音に師事します。こうして絵師としての基礎を築いた小虎は、東京美術学校に進み、卒業後は教職に就きつつ創作活動を行いました。

画業の変遷

初期の作品では、祖父や師匠のスタイルを踏襲し、大和絵を基にした叙情的な表現が際立っていました。しかし、時間が経つにつれて彼の作品は人間味溢れる生き生きとした表現へと変化し、特に晩年には周囲の自然や動物の素朴な主題に焦点を当てるようになりました。

1937年から始まった新文展の審査員にも就任し、1944年には山梨県中巨摩郡に疎開します。戦前から戦後にかけて、文展・帝展・日展などで活躍し続けました。1968年には脳血栓により一時的に損傷を受けますが、それでもなお左手で創作を続けました。1970年には自身の画業60周年を祝う展示会も行われました。

最晩年と遺産

1977年に老衰により78歳で他界。彼の墓所は多磨霊園にあり、祖父の川﨑千虎と共に安置されています。1978年には山種美術館で回顧展が開催され、その後も山梨県立美術館や市川市東山魁夷記念館などで彼の作品展示が続けられました。

家族の影響

川﨑小虎は、1917年に押谷清子と結婚し、男女二人ずつの子どもに恵まれました。彼の長女である川崎すみは、弟子である日本画家・東山魁夷の妻となり、特に戦後の魁夷の風景画には小虎の影響が色濃く見られます。長男の川﨑鈴彦や次男の川﨑春彦も日展などで活躍し、芸術の道を継承しました。また、川崎千春は遠戚であり、彼は京成電鉄やオリエンタルランドの初代社長を務めました。

経歴

• - 1910年：東京美術学校日本画科卒業
• - 1914年：文展「つき草」初入選
• - 1916年：文展「花合せ」特選
• - 1943年：東京美術学校教授
• - 1961年：日本芸術院恩賜賞受賞
• - 1967年：武蔵野美術大学名誉教授

川﨑小虎は日本画の発展に多くの貢献を果たしただけでなく、その作品を通じて後の世代に多大な影響を与え続けています。

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