川本産業

川本産業株式会社は、大阪府大阪市中央区に本社を構える、衛生材料の大手メーカーです。医療機関から薬局、そして一般家庭に至るまで、幅広いニーズに対応する様々な衛生用品の製造販売を主要な事業としています。

沿革

その歴史は古く、大正時代にまで遡ります。1914年、川本新之助氏と森開造氏らが個人商店として創業したのが始まりです。衛生材料の需要拡大に応えるため、1923年には森開造氏によって大阪府泉北郡忠岡町に大津川工場（現在の大阪工場）が操業を開始しました。法人としての組織を整えるため、1931年には大阪市東区（現在の大阪市中央区）瓦町に株式会社川本新之助商店を設立しました。会社の名称は時代と共に変化し、1943年には川本繃帯材料株式会社へと改称しています。事業規模の拡大に伴い、1971年には株式会社新喬商会を子会社化し、川本商事株式会社として再編しました。本社所在地も変遷を経ており、1982年には大阪市東区糸屋に移転しています。

事業体制のさらなる強化を図るため、1996年には関連会社の川本商事株式会社と川本医専商事株式会社を吸収合併し、現在の社名である川本産業株式会社に改称しました。同年にはニチエイ商事株式会社を子会社としましたが、翌1997年にはこれを吸収合併し、事業基盤の統合を進めました。2000年には、今永商事株式会社および株式会社開新舎からそれぞれ衛生材料事業部門を譲り受け、取り扱い製品分野をさらに広げました。株式市場への上場は、2001年の大阪証券取引所二部が最初で、2003年には東京証券取引所二部にも上場を果たし、資本市場からの資金調達を可能としました。2005年には泉谷商事株式会社の営業権を譲受するなど、積極的な事業展開を続けました。本社はその後、2014年に現在の大阪市中央区の所在地に移転しています。

近年の大きな動きとしては、2016年にエア・ウォーター株式会社による株式公開買付け（TOB）が成立し、同社の連結子会社となりました。さらに2025年には、エア・ウォーターによる二度目のTOBが成立し、同年5月14日に東京証券取引所スタンダード市場での上場が廃止される予定となっています。

主な製品

川本産業は、人々の健康と衛生維持に不可欠な幅広いラインナップの衛生材料を提供しています。代表的な製品には、

手指や皮膚の消毒に用いられるアルコール綿「ステリコットα」
傷の手当てなどに使用される、滅菌済みのガーゼ「滅菌ケーパイン」
消毒薬としては、傷口などの殺菌・消毒に使う「ケーパイン消毒液A【指定医薬部外品】」や泡タイプの「ケーパイン消毒薬泡タイプ【第2類医薬品】」（いずれも製造販売元は万協製薬）
眼科治療や保護目的で使用される「アイパッチ」

などがあります。これらの製品は、医療現場だけでなく、薬局やドラッグストアなどを通じて一般家庭にも広く普及しています。

まとめ

100年以上の歴史を持つ川本産業株式会社は、創業以来、衛生材料のリーディングカンパニーとして日本の公衆衛生の向上に貢献してきました。度重なる社名変更や本社移転、合併や事業譲受による事業拡大、そして上場と親会社変更といった大きな変革を経て、時代のニーズに応える製品を提供し続けています。今後はエア・ウォーターグループの一員として、グループ内の連携を強化しながら、新たな価値創造を目指していくことが期待されます。

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