川蔵線

川蔵線：成都とラサを結ぶ壮大な鉄道プロジェクト

川蔵線は、中華人民共和国の四川省成都市とチベット自治区の首府ラサを結ぶ、全長1629kmにも及ぶ壮大な鉄道路線です。中国国鉄が建設を進めており、全線開通すれば、チベットと中国本土を結ぶ重要な交通の大動脈となります。

路線概要

この路線は、中国鉄道部の長期計画に基づいており、その大部分は単線で電化される予定です。設計速度は時速200kmで、全線開通時には成都からラサまで約8時間で移動できるようになります。しかし、沿線は急峻な山岳地帯や凍土が広がり、地滑りや地震などの自然災害も多いため、建設は非常に困難を極めます。

具体的なルートは、成都を出発し、温江、蒲江、雅安、ダルツェド、リタン、バタン、ペユル、チャムド、パシュー、ポメ、ニンティを経てラサに至ります。このうち、成都西駅から雅安駅間は成雅線として既に開業しており、ニンティ・ラサ間も2021年に開通しました。しかし、成都西駅から朝陽湖駅間は旅客専用であるため、別途、朝陽湖駅から成昆線の彭山駅までを結ぶ貨客両用の路線が建設される予定です。

この路線の大部分は、国道318号と並行していますが、一部区間では地形の制約から、マルカム県やゾガン県を迂回するルートが採用されています。特に、雅安からニンティ間では、40km級のトンネル1本、30km級のトンネル4本、20km級のトンネル10本を含む、多数の長大トンネルが建設される予定で、その技術的な難易度は非常に高いと言えます。

建設状況と今後の展望

計画工期は11年で、総投資額は2500億元にのぼります。完成すれば、青蔵線に次ぐチベットへの重要なアクセスルートとなり、地域経済の発展に大きく貢献することが期待されます。2020年には、雅安市とニンティ市間の建設を担う川蔵鉄路有限公司が設立され、建設が本格化しました。全線開通は2030年代になる見込みです。

歴史

2009年9月：成都西～朝陽湖間（成蒲線）の建設開始
2010年11月：朝陽湖～雅安間（成雅線）の建設開始
2014年12月：協栄～ニンティ間（ラサ・ニンティ鉄道）の建設開始
2018年12月28日：成都西～雅安間が成雅線として開業
2020年1月10日：川蔵鉄路有限公司が設立
2020年4月7日：ラサ・ニンティ鉄道の全トンネルが貫通
2021年6月25日：ラサ・ニンティ間が開通

接続路線

成都西駅：成昆線、宝成線、成渝線、達成線
ラサ駅：青蔵線

主な駅の座標

成都西駅：北緯30.687858度、東経103.976728度
朝陽湖駅：北緯30.1684度、東経103.4437度
雅安駅：北緯30.031247度、東経103.054668度
協栄駅：北緯29.3914度、東経90.9161度
林芝駅：北緯29.5284度、東経94.4374度
ラサ駅：北緯29.625度、東経91.068611度
康定市：北緯29.999度、東経101.957度
* ニンティ市：北緯29.636683度、東経94.361048度

まとめ

川蔵線は、その建設の難易度から、中国の鉄道技術の粋を集めたプロジェクトと言えるでしょう。全線開通によって、チベットの発展を加速させるとともに、中国の東西を結ぶ新たな大動脈としての役割を果たすことが期待されています。

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