成渝線

成渝線（せいゆせん）

成渝線は、中国の四川省成都市から重慶市を結ぶ、全長505kmの中国国鉄の鉄道路線です。この路線は、中華人民共和国成立後に初めて新規に開通した幹線鉄道であり、中国の鉄道史において重要な役割を果たしています。

概要

成渝線は、成都市から南東方向に延び、簡陽、資陽、内江といった主要都市を経由して重慶市に入り、永川、江津を経て重慶駅に至ります。全線が成都鉄路局の管轄下にあり、電化された単線路線です。2015年12月26日には、並行する形で高速鉄道である成渝旅客専用線が開通しています。

成渝線の建設は、決して順風満帆ではありませんでした。20世紀前半の激動する中国の縮図とも言える歴史を背負っています。成渝線の前身は、清朝末期に計画された川漢線の一部区間（成都～重慶間）です。この川漢線の建設を巡っては、保路運動と呼ばれる大規模な抗議運動が発生し、それが最終的に辛亥革命へとつながり、清朝の滅亡を招く一因となりました。

歴史

川漢線計画

1903年7月：当時の四川総督である錫良と湖広総督である張之洞が、連名で清朝政府に川漢線の建設を提案。川漢線は、四川省成都市から内江、重慶、宜昌を経由し、湖北省漢口に至る計画でした。後に建設された成渝線は、この計画の一部である成都～重慶間を継承しています。
1909年10月：川漢線の一部区間が着工されました。
1911年4月：清朝政府は、資金調達のため、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの四カ国と合同借款契約を締結し、川漢線の敷設権を売り渡しました。
1911年5月9日：清朝政府は「幹線路線は国有化する」と発表。
1911年8月：約2年間続いた工事は中断されました。この背景には、川漢線の国有化を巡る混乱と、外国資本の導入に対する国民の反発がありました。

成渝線の建設再開

1936年6月：国民政府は「成渝鉄路工程局」を設立し、成渝線の建設を再開しました。しかし、日中戦争の勃発とそれに伴う財政難により、再び工事は中断しました。
1947年5月：建設工事は事実上麻痺状態に陥りました。この時点で、重慶～永川間の一部路盤、トンネル、橋梁が完成したのみで、総工程の14%しか進捗していませんでした。

中華人民共和国成立後の建設

1949年12月31日：第二次国共内戦が終結し、鄧小平が西南局常委弁公会議で「成渝鉄路の建設、造船と港湾の整備」を決定。翌年1月2日には党中央に成渝線の建設を重点的に進めるよう報告しました。
1950年6月7日：西南鉄路工程局（後に中鉄二局となる）が設立されました。
1950年6月15日：西南軍区大操場で着工式典が盛大に開催されました。
1950年6月16日：建設工事が再開され、3万人を超える人民解放軍と10万人の労働者が動員されました。また、第二次世界大戦後に中国に残った日本人鉄道技術者も建設に協力しました。
1950年8月1日：重慶から西に向かって軌道敷設が開始されました。
1951年6月30日：軌道敷設が永川まで到達。
1951年12月6日：軌道敷設が内江まで到達。
1952年1月26日：軌道敷設が資中まで到達。
1952年6月13日：軌道敷設が成都まで到達し、全線が開通。毛沢東主席から祝賀の言葉が贈られました。
1952年7月1日：全線開通式典が行われました。
1953年7月1日：全線が正式に開通しました。
1953年7月30日：全線が正式に運営を開始しました。

電化と輸送能力の向上

1980年3月：電化工事が正式に着工されました。
1987年12月24日：全線の電化工事が完了し、年間輸送能力は610万トンから1300万トンに向上しました。
1998年：全線の輸送能力は2876万トンに達しました。
2008年：年間輸送貨物量は9004万トンに達し、開通時の約15倍に増加。年間の旅客発着数は7000万人に達しました。

駅一覧

小梨支線（及び襄渝線の一部）: 小南海 - 跳蹬 - 重慶西（- 中梁山） - 重慶東 - 梨樹湾 - 沙坪垻 - 重慶

接続路線

成都駅: 宝成線、成昆線
龍潭寺駅: 達成線
帰徳郷駅: 帰連支線（～威遠県連界）
資中駅: 資威支線（～威遠県宋家鋪）
内江駅: 元は内宜支線が珙県へ向かっていたが、後に延伸され内昆線となった。
隆昌駅: 元は隆瀘支線が瀘州へ伸びていた。後に叙永まで延伸され、計画では隆黄線となる予定である。
銅罐駅駅: 西銅支線（襄渝線への連絡線）
小南海駅: 川黔線
重慶駅: 襄渝線

注：*遂渝線と渝懐線は成渝線と直接接続していません。重慶鉄道枢軸内の西永駅～銅罐駅間に西銅支線、小南海駅～梨樹湾駅間に小梨支線があります。成渝線から渝懐線への列車は西銅支線を経由し、遂渝線から川黔線への列車は小梨支線を経由します。

ギャラリー

出典

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