宝成線

宝成線

宝成線は、中華人民共和国の南西部、四川省成都市と陝西省宝鶏市を結ぶ全長669kmの中国国鉄の鉄道路線です。この路線は、中国が成立後に初めて建設された電化路線として、その歴史においても重要な位置を占めています。

概要

宝成線は、成都と宝鶏という二つの主要都市を結ぶ大動脈としての役割を担っています。沿線には、成都、徳陽、綿陽、江油、馬角壩、昭化、広元、陽平関、徽県、略陽、鳳州、鳳県、秦嶺といった主要な駅が点在しています。路線の管轄は、成都～広元間が成都鉄路局、広元～宝鶏間が西安鉄路局となっています。

歴史

宝成線の建設は、1913年に測量が開始されたことに遡ります。本格的な工事は1952年に始まり、成都側と宝鶏側からそれぞれ軌道敷設が進められました。1956年には全線でレールの施設が完了し、1958年1月1日に全線が開通しました。電化工事は1958年6月に着工し、1960年に宝鶏～鳳州間、1975年には全線の電化が完了しました。1998年からは拡能改造と複線化工事も行われています。

宝成線は、自然災害にも見舞われています。2008年の四川大地震では、トンネル内の脱線事故や崖崩れが発生し一時運休となりましたが、同年5月末には復旧しました。また、2010年には、石亭江鉄橋の崩落事故が発生し、列車が脱線する被害を受けましたが、同年10月には復旧しています。

沿線風景

宝成線は、秦嶺山脈を越える路線であり、その沿線風景は変化に富んでいます。成都から江油までの区間は成都平原を走るため比較的平坦ですが、馬角壩駅を過ぎると龍門山山岳地帯に入り、山岳鉄道の様相を呈します。新会龍場トンネルを抜けると、嘉陵江支流の下寺河渓谷に沿って広元駅へと至ります。

広元から秦嶺駅にかけては、嘉陵江上流沿いを走り、狭隘な地形のためトンネルも多く、渓谷の美しい景色が楽しめます。秦嶺駅を出ると、全長2364mの秦嶺トンネルで秦嶺山脈を越えます。トンネルを出た後は、全長27kmのΩ字状ループ線で下り勾配を緩和し、橋やトンネルが連続する区間を経て楊家湾駅に到着します。楊家湾駅からは、清姜河に沿って走り、渭河鉄橋を渡り、隴海線と合流して宝鶏駅へと至ります。

宝成線には、合計304本のトンネル（総延長84km）と1001本の橋梁（総延長28km）があり、全線の17％がトンネルと橋梁で占められています。このことから、宝成線は中国でも有数の山岳鉄道と言えるでしょう。

接続路線

宝成線は、各駅で以下の路線と接続しています。

成都駅：成渝線・成昆線・成灌線
青白江駅：達成線・成汶線
広漢駅：広岳線（広漢～岳家山）
徳陽駅：徳天線（徳陽～天池）
広元駅：広旺線
陽平関駅：陽安線
* 宝鶏駅：隴海線・宝中線

駅一覧

（駅一覧は省略）

宝成線は、その建設と運営の歴史を通じて、中国の鉄道技術の進歩と発展を象徴する路線です。沿線の美しい風景は、多くの旅行者や鉄道ファンを魅了し続けています。

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