川辺町 (鹿児島県)

川辺町の概要

川辺町（かわなべちょう）は、鹿児島県薩摩半島の南部に位置し、かつて川辺郡に属していた町です。2007年12月1日に知覧町、頴娃町と合併し、南九州市となりました。この合併により、川辺町という名称は自治体としては姿を消しましたが、その歴史と文化は南九州市の一部として今も受け継がれています。

地理

川辺町は、山々に囲まれた自然豊かな地域でした。主な山としては、熊ヶ岳、下山岳、田上岳などが挙げられます。これらの山々から流れ出す河川は、万之瀬川、神殿川、野崎川、麓川、永里川、大谷川、佐々良川などがあり、豊かな水資源を育んでいました。また、川辺ダム湖やとも池などの湖沼も存在し、多様な景観を形成していました。

町の東端は東経130度29分22秒、西端は東経130度18分48秒、南端は北緯31度18分17秒、北端は北緯31度28分18秒に位置していました。隣接する自治体としては、鹿児島市、枕崎市、南さつま市（旧加世田市、旧金峰町）、そして同じ川辺郡の知覧町がありました。

歴史

川辺町の歴史は、1889年4月1日に町村制が施行された際に、平山村、田部田村、永田村、野間村、宮村、高田村、今田村、小野村、両添村、野崎村、古殿村、清水村、神殿村、本別府村が合併して川辺村が発足したことに始まります。同じく、上山田村、中山田村、下山田村が合併して勝目村が発足しました。その後、1923年10月13日に川辺村は町制を施行し、川辺町となりました。1950年4月1日には川辺町本別府が勝目村に編入され、1956年9月1日には川辺町と勝目村が合併し、新たな川辺町が誕生しました。

2007年11月4日には川辺町文化会館で閉町式が執り行われ、同年12月1日に知覧町、頴娃町との合併を経て、南九州市が発足し、川辺町は歴史の幕を閉じました。合併後の地名は、旧郡名を「南九州市」に置き換えた上で、旧町名と大字名を組み合わせたものとなり、大字の表記は省略されました。

行政と経済

合併後、南九州市内では旧町ごとにゴミの分別方法が異なっており、特に川辺町は分別数が多いため、移住者にとっては戸惑う点も多いようです。かつては、焼却灰のダイオキシン除去やレンガ利用で注目を集めましたが、維持コストの問題から模範となる事例は少ない状況です。また、人口流出が止まらず、過疎化が進んでいることも課題となっています。

川辺町の主な産業は農業で、メロン、レタス、茶などが栽培されています。畜産業も盛んで、特に肉牛（かわなべ牛）の生産が有名です。子牛の生産も活発で、全国各地へ出荷され、松阪牛や神戸牛といったブランド牛として育てられています。工業では、伝統工芸品の川辺仏壇が製造されています。

教育

川辺町には、かつて高等学校、中学校、小学校が所在していましたが、合併後、南九州市の一部の教育機関となっています。

交通

町内には空港はなく、最寄りの空港は鹿児島空港（車で約90分）と枕崎飛行場（車で約40分）です。ただし、枕崎飛行場は現在、ソーラー発電所や緊急ヘリポートとして利用されています。かつては薩南中央鉄道（鹿児島交通知覧線）が通っていましたが、1965年に全線が廃止され、現在は鉄道は通っていません。JR指宿枕崎線が最寄りの路線となります。

バス路線としては、鹿児島交通やひまわりバスが運行しています。道路網としては、指宿スカイライン、国道225号、複数の県道が整備されており、道の駅川辺やすらぎの郷があります。

名所・旧跡・観光スポット

川辺町には、多くの観光スポットや文化財があります。高田磨崖仏や清水磨崖仏をはじめ、磨崖仏まつりや二日市などのイベントも開催されていました。清水岩屋公園は、名水百選に選ばれた湧水が湧き出る場所として知られ、多くの人に親しまれています。その他、森林馬事公苑（閉鎖予定）、オートキャンプ場、平山城址、勝目城址、八瀬尾の滝、稲荷町六月灯、祇園祭など、地域に根ざした観光資源が豊富です。

川辺町出身の有名人

川辺町出身の著名人としては、川口幹夫（第16代NHK会長）、鮫島重雄（陸軍大将）、諏訪高広（元プロレスラー）、式守伊之助（大相撲立行司）、徳田二次郎（前日本男性最高齢）、高良武久などがいます。また、有村藍里・有村架純姉妹や古市憲寿など、川辺町にルーツを持つ有名人も多くいます。

その他

川辺町は、水の郷百選にも選ばれており、心やすらぐ清水の里として知られています。平家落人伝説も残っており、歴史ロマンを感じさせる地域です。

まとめ

川辺町は、合併により自治体としての名前は消えましたが、その豊かな自然、歴史、文化は今も南九州市の一部として受け継がれています。多くの観光スポットや文化財を有し、歴史と自然が調和した魅力的な場所でした。

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