巨田の大池

巨田の大池（こたのおおいけ）

巨田の大池は、宮崎県宮崎市佐土原町巨田に位置する美しい溜め池です。2010年には農林水産省の「ため池百選」にも選定され、その価値が認められています。

概要

巨田神社の正面に広がる巨田の池は、上池と下池の二つに分かれています。このうち、下池が特に「巨田の大池」と呼ばれています。大池は、周辺の水田約18ヘクタールに農業用水を供給する重要な役割を担っています。

梅雨の時期には、池一面に美しいハスが咲き誇り、多くの人々を魅了する名所となります。また、冬にはたくさんの鴨が越冬のために飛来し、伝統的な鴨の猟場としても知られています。

鴨網猟

巨田の大池とその周辺の丘陵地は、古くから人々の生活と深く関わってきました。1586年の上井覚兼の日記にもその存在が記されており、400年以上も前から島津家や佐土原藩の青年藩士たちが、心身鍛錬を兼ねて鴨を狩る場として利用することを許可されていました。

鴨を捕獲するための独特な漁具である「越網（こえあみ）」は、長さ約1.5メートルの柄に、先端の幅が約2メートルのV字型に組まれた竹を取り付け、網を張ったものです。この漁具を使用し、夕暮れ時に餌場へ低空飛行で移動し、早朝に帰ってくる鴨の習性を利用します。池を取り囲む丘陵の樹木を凹型に伐採することで鴨の通り道を作り、そこへ飛行する鴨に越網を投げて捕獲するという、非常に独特な狩猟方法です。

このような古式ゆかしい狩猟が、現在も組織的に行われているのは、石川県の片野鴨池とこの巨田池のみです。その文化的価値が認められ、「巨田池の鴨網猟」として2006年3月23日に宮崎県の無形民俗文化財に指定されました。現在は、佐土原鴨越保存会が中心となり、この貴重な技術の伝承に尽力しています。

アクセス

道路: 宮崎県道324号札の元佐土原線谷山
公共交通機関: 日豊本線佐土原駅下車

脚注

関連項目

宮崎市
ため池百選
巨田神社
片野鴨池

外部リンク

ため池百選
巨田の大池 -宮崎市
* 宮崎市

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