巴陵郡

巴陵郡（はりょうぐん）

巴陵郡は、中国にかつて存在した郡であり、南朝宋から唐代にかけて、現在の湖南省岳陽市一帯に位置していました。その歴史は、政治情勢の変化とともに、所属する州や管轄する県を変えながら、数世紀にわたって続いてきました。

成立と変遷

巴陵郡の始まりは、439年（南朝宋の元嘉16年）に遡ります。この時、長沙郡から巴陵・蒲圻・下雋の3県と、江夏郡から沙陽県が分割され、新たに巴陵郡が設置されました。当初、巴陵郡は湘州に属していました。

その後、454年（孝建元年）には、行政区画の再編が行われ、蒲圻・沙陽の2県が江夏郡へと移管される一方、南郡から監利・州陵の2県が巴陵郡に編入されました。この変更に伴い、巴陵郡は郢州の管轄下へと移りました。この時点で、巴陵郡は巴陵・下雋・監利・州陵の4県を管轄する郡となりました。

南朝斉の時代になると、巴陵郡は下雋・州陵・巴陵・監利の4県を管轄していました。

南朝梁の時代には、巴州が置かれ、巴陵郡は巴州に属する郡となりました。529年（大通3年）には、巴陵郡に度支校尉が置かれました。

隋代から唐代にかけて

589年（開皇9年）、隋が南朝陳を滅ぼすと、巴陵郡は廃止され、岳州に編入されました。しかし、606年（大業2年）には岳州が羅州と改称され、さらに607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、羅州が巴陵郡と改称されました。この時、巴陵郡は巴陵・華容・沅江・湘陰・羅の5県を管轄しました。

唐代に入ると、621年（武徳4年）に唐が蕭銑を平定し、巴陵郡は巴州と改められました。その2年後の623年（武徳6年）には、巴州は岳州と改称され、羅県が分離されました。742年（天宝元年）には、再び岳州が巴陵郡と改称されました。この時の巴陵郡は、巴陵・華容・沅江・湘陰・昌江の5県を管轄していました。

しかし、758年（乾元元年）になると、巴陵郡は岳州と改称され、ここに巴陵郡という名称は歴史から姿を消しました。

このように、巴陵郡は時代とともにその姿を変えながらも、地域の歴史において重要な役割を果たし続けたのです。

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