岳陽市

岳陽市（がくようし）

岳陽市は、中華人民共和国湖南省に位置する地級市です。古くは「巴陵」や「岳州」と呼ばれ、湖南省の副中心都市、そして長江沿岸における重要な都市の一つとして発展してきました。2500年以上の歴史を持ち、豊かな文化を育んできた都市です。

地理

岳陽市は湖南省の北東部に位置し、北は長江、南は中国最大の淡水湖である洞庭湖に面しています。具体的には、北緯28°25’31.65″～29°51’6.23″、東経112°18’33.13″～114°09’11.64″の範囲に位置しています。この地理的条件が、岳陽市の発展に大きく寄与してきました。

歴史

岳陽市の歴史は古く、約5000年前の夏商時代には「雲夢の野、三苗の地」と呼ばれていました。伝説によれば、黄帝、堯、舜、禹といった古代の帝王もこの地を訪れたと伝えられています。

史書に記録されている最も古い記述としては、紀元前505年に楚によって西麋城が築かれたことが挙げられます。秦の時代には長沙郡羅県に属し、漢代には長沙国の下雋県となりました。210年には孫権が漢昌郡を設置し、これが現在の岳陽市の行政範囲の原型となりました。

その後、西晋時代には巴陵県、巴陵郡と改編され、南朝梁の時代には巴州が設置されました。隋代には岳州と改称され、この名称は中華民国まで長く用いられました。1913年に岳州巴陵県が岳陽県と改称され、1983年に地級市に昇格し、現在の岳陽市となりました。

行政区画

岳陽市は、以下の3市轄区、2県級市、4県を管轄しています。

市轄区: 岳陽楼区、雲渓区、君山区
県級市: 臨湘市、汨羅市
県: 岳陽県、湘陰県、平江県、華容県

近年の発展

岳陽市は近年、交通インフラの整備が著しく進んでいます。長江鉄道、京広鉄道、浩吉鉄道、京広高速鉄道、京港澳高速道路、杭瑞高速道路など、中国の主要な交通網が市街地を通過しており、湖南省における交通の要衝としての地位を確立しています。また、岳陽三荷空港が開通し、水路、陸路、空路、鉄道が一体となった交通体系が構築されました。

経済面では、化工、建材、家電、製紙業、飼料、医薬品といった産業が発展しており、工業都市としての地位を確立しています。

教育

岳陽市には、湖南理工学院などの高等教育機関のほか、多くの高校や専門学校、小学校が存在し、教育水準の向上に力が入れられています。

観光

岳陽市には、岳陽楼や洞庭湖といった国内外に知られた観光地が点在しており、多くの観光客が訪れます。2014年には「中国で最も幸福度の高い都市」に認定され、2015年には「中国十大活力都市」と「中国全国文明都市」の称号を獲得しました。

姉妹都市

岳陽市は、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

沼津市（日本）
タイタスビル（アメリカ合衆国）
en:Castlegar, British Columbia（カナダ）
スタラ・ザゴラ（ブルガリア）
en:City of Cockburn（オーストラリア）
クパチーノ（アメリカ合衆国）
サリナス（アメリカ合衆国）
ナーシク市（インド）
サント・フォワ・ラ・グランド（フランス）

ゆかりの人物

岳陽市ゆかりの人物としては、以下のような人々が挙げられます。

屈原（詩人）
李佳琦（インフルエンサー）
ジュンジュン（元モーニング娘。）
チェン・スー（元SNH48）

岳陽市は、豊かな歴史と文化、そして近代的な発展が調和した魅力的な都市です。

もう一度検索