巻線とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

巻線とは

巻線とは、コイル状の電気部品に使用される絶縁電線のことを指します。電気機器の重要な構成要素であり、電動機、発電機、変圧器など、様々な機器で利用されています。巻線は、その用途や目的によって、様々な種類と巻き方が存在します。

電動機や発電機には、磁界と電流の相互作用を利用して回転運動や電力変換を行うための巻線が用いられます。これらの巻線は、その巻き方によって、いくつかの種類に分類されます。

全節巻は、巻溝のピッチが磁極ピッチと等しい巻線です。主に直流電動機で用いられます。構造が比較的単純で、高い効率を得やすい特徴があります。

分布巻は、各相の巻線を複数のスロットに分散して巻いた巻線です。交流電動機で用いられ、巻線の発熱を分散させ、効率的な運転を可能にする特徴があります。

集中巻は、各相の巻線を一つのスロットに集中して巻いた巻線です。構造が単純で小型化に適していますが、磁気特性の観点から効率はやや劣ります。

短節巻は、巻溝のピッチが磁極ピッチよりも短い巻線です。全節巻に比べて誘導起電力が小さくなりますが、発生する電圧波形が正弦波に近づくため、交流電動機で広く利用されています。この短節巻によって誘導起電力が小さくなる割合は、短節巻定数と呼ばれます。

整流子電動機には、直流電流を交流電流に変換するための電機子巻線が用いられます。この電機子巻線にも、重ね巻と波巻の2種類が存在します。

重ね巻は、極数に等しいブラシ数と並列回路数を持つ巻線です。低電圧で大電流を必要とする機器に用いられます。各回路に電流が分散されるため、電流容量を大きくすることができます。

波巻は、極数に関係なくブラシ数と並列回路数が2となる巻線です。高電圧を必要とする機器に用いられます。各回路に流れる電流は一定であるため、電圧を高めることができます。

変圧器には、一次巻線と二次巻線の2種類の巻線が用いられます。一次巻線は入力側の巻線、二次巻線は出力側の巻線です。一次巻線と二次巻線の巻数比は、変圧比に直接影響します。理想的な変圧器では、巻数比と変圧比は等しくなります。

巻線抵抗は、主に大電力、低抵抗の抵抗器を得るために用いられる巻線です。電磁誘導やインダクタンスを目的とするコイルとは異なり、タングステンなど比較的抵抗値の高い材料が使用されます。コイル形状であるためインダクタンスが高く、周波数特性が悪いという欠点があり、主に直流や低周波の用途に限られます。

無誘導巻は、巻線抵抗の周波数特性を改善するために用いられる巻き方です。巻線の半分を逆方向に巻くことで、インダクタンスを打ち消し、周波数による抵抗値の変化を小さくします。