市村羽左衛門 (12代目)

十二代目市村羽左衛門（1812年 - 1851年）は、江戸時代後期の歌舞伎役者であり、江戸の市村座の座元としても知られています。俳名家橘、屋号は橘屋、定紋は根上がり橘を使用しました。

彼は、市村座の座元であった十一代目市村羽左衛門の次男として生まれました。幼名は市村豊松と名乗り、後に市村亀之助と改名。文政元年（1818年）11月には子役として舞台に初登場しました。文政3年（1820年）7月に父が亡くなると、同年11月には十二代目市村羽左衛門を襲名し、座元と役者の両方の役割を担うことになりました。

天保12年（1841年）10月には、隣接する中村座が火災で全焼し、その火は市村座にも燃え移り、こちらも全焼してしまいました。この火災を機に、市村座、中村座、そして森田座の三座は、町奉行所から浅草猿若町への移転を命じられました。嘉永4年（1851年）4月、彼は実子である市村九郎右衛門に十三代目羽左衛門の名跡と座元の地位を譲り、自身は五代目市村竹之丞を襲名し、役者として舞台に専念することを選びました。しかし、そのわずか2ヶ月後の同年6月、病によりその生涯を閉じました。

十二代目市村羽左衛門は、上品な顔立ちで知られていました。また、私生活では、成田山への参詣に大勢の幇間や芸者を連れていき、その後に宴会を開くなど、その派手な遊びは江戸の街で大きな話題を集めました。彼は、歌舞伎界において重要な役割を果たし、その影響は今もなお語り継がれています。彼の生涯は、歌舞伎の歴史を語る上で欠かせない一部となっています。

参考文献
野島寿三郎編『歌舞伎人名事典』（新訂増補）日外アソシエーツ、2002年

関連項目
市村羽左衛門
市村竹之丞

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