市橋倭

市橋 倭の生涯と業績

市橋 倭（いちはし やまと、1878年 - 1963年）は日本の愛知県名古屋に生まれ、のちにアメリカに移住した日系アメリカ人です。彼は特に第二次世界大戦中の抑留体験を記録した著作によって知られています。

家族と初期の生活

彼の父親は侍の名を持つIchihashi Hiromasha、母親はMaizuno Aiです。このように伝統的な背景を持ちながらも、16歳で彼は家族と共にアメリカに渡ることを決意しました。1894年に渡米した市橋は、サンフランシスコの公立学校を卒業後、スタンフォード大学に進学します。この場で経済学の学士号と修士号を取得し、その後ハーバード大学で博士号を取得しました。

教育者としての道

1913年、市橋はスタンフォード大学で日本史や日本政治、国際関係についての講義を開始します。この教育現場では、日系アメリカ人に関する重要な研究も行われ、彼の影響力が増していきました。彼は日本とアメリカの関係を理解しようと努力し、戦争の局面に身を置く中での彼の思考もまた重要でした。

第二次世界大戦と抑留生活

しかしながら、1941年、日本がアメリカ合衆国に対して戦争を宣言したことは市橋に深い怒りを引き起こしました。彼はアメリカの支援を表明するために、戦時国債を購入するといった行動に出ました。しかし、戦争の高まりとともに日系アメリカ人に対する偏見が強まった結果、彼自身も妻のKeiと共に抑留されることになりました。

彼らはカリフォルニア州のサンタ・アニタ競馬場に収容されることになります。ここはその当時、馬の厩舎を使った仮設の抑留施設で、約5、6人ずつが厩舎に収容される形でした。この体験は彼にとって非常に過酷なものであり、後に恒久の捕虜収容所へと移転させられました。

書き残された記憶

1942年から1945年にかけて、市橋は自身の抑留体験を記録しました。この記録は、彼自身の視点から見るアメリカにおける日本人の初期の歴史とも言える重要な資料です。そして彼の著作は、スタンフォード大学のグリーン・ライブラリーに特別に所蔵されています。この資料は、日系アメリカ人の歴史を理解するための貴重な手掛かりとなっています。

市橋倭は長い人生の中で、戦争や抑留といった厳しい現実を乗り越えつつ、教育者として、また著述家としての道を歩み続けました。彼の功績は、日系アメリカ人の歴史を記録し、理解を深めるための重要な位置を占めています。

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