市橋長利

市橋長利（いちはし ながとし）

市橋長利は、戦国から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、織田信長の重要な家臣として知られています。青柳城と福束城の城主であった彼は、通称として九郎右衛門や壱岐守、一斎といった名前を持ちました。　

経歴の概要

長利の出自は、美濃国池田郡市橋の庄に関連があるとされる市橋氏で、藤原氏の支流、または清和源氏の流れを汲むとも言われています。信長が名を馳せる前から、美濃の斎藤氏が没落するのを見越して、早くから織田氏に仕官したようです。特に、永禄6年（1563年）に高木貞久の降伏を信長に仲介したことが、武将としての活動を示す初期の記録となっています。

信長の進撃が続き、長利は近臣としての役割を果たし、西美濃三人衆に次ぐ存在としても知られました。彼は数々の戦闘に参加し、永禄12年（1569年）の伊勢大河内城攻めや、元亀元年（1570年）の近江小谷城及び佐和山城攻め、さらには長島攻めや小谷城攻め、いずれも信長の軍の一員として活躍しました。天正元年（1573年）には、浅井家を滅ぼす戦いにも参加しています。

信長から信忠へ

1575年、信長が息子の信忠に家督を譲った際、長利は信忠配下になったとされています。信長の茶事に招かれたこともあり、芙蓉の絵を贈られるなど、信長からの厚遇を受けました。また、信忠により播磨国の砦の警護に命じられ、信頼される武将であったことが窺えます。

長利は1580年、信長から米銭の債権を与えられた際、「壱斎」という号を名乗るようになります。この間に本能寺の変が起きると、明智光秀への応じることなく織田方として戦い続け、羽柴秀吉が台頭すると秀吉に従い、1584年には所領を安堵されました。

晩年と子孫

1585年3月13日、長利は73歳でその生涯を終え、法名を節爺宗竹として京都の大徳寺に葬られました。彼の後を継いだのは嫡男の長勝であり、長利は戦国時代の混乱を生き抜いた忠義の武将として記憶されているのです。

家族

長利の父は市橋利尚または市橋時盛であり（名は諸説あり）、正室として前田利昌の娘との説も伝えられています。彼の長男は市橋長勝で、女子は林右衛門左衛門某の妻となり、子供の長政が養嗣子となって長勝の後を継ぎました。

このように市橋長利は、戦国時代の激しい歴史の中で、織田信長の側近としての活躍を成し遂げ、後に家族を通じてその名を伝える役割も担った人物でした。

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