市橋長勝

市橋 長勝 (いちはし ながかつ) について

市橋長勝は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した有名な武将であり、大名でもあります。彼は、美濃国の今尾藩、伯耆国の矢橋藩、越後国の三条藩の初代藩主として名を知られています。また、仁正寺藩市橋家の初代でもあります。

生涯

市橋長勝は、弘治3年（1557年）に美濃国今尾で豪族・市橋長利の長男として誕生しました。彼の軍事的キャリアは、初めて織田信長に仕官したことから始まります。信長の死後は、豊臣秀吉の配下となり、九州征伐や小田原征伐に参加しました。

天正17年（1589年）、長勝は美濃国今尾に1万石の土地を与えられ、今尾藩を設立しました。文禄・慶長の役では、肥前名護屋城に駐屯し、戦争に従事しました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、東軍に所属し、敵軍に属していた丸毛兼利の福束城を攻略するという華々しい戦果を挙げました。この功績により、戦後に1万石が加増されて、彼の領地は合計で2万石となりました。

その後、慶長14年（1609年）に中村一忠が嗣子なくして亡くなり、中村氏は改易されました。このことにより、長勝は慶長15年（1610年）に伯耶矢橋に移封され、領地は2万3000石に増加しました。さらに、慶長19年（1614年）からの大坂の陣でも活躍します。元和2年（1616年）には越後の三条に5万石で再び移封されました。

同年の智者としての面を見せつけたのは、徳川家康の臨終の際、彼が家康の枕元に呼ばれ、後事を託される場面です。家康からの信任が非常に厚かったことを示す出来事です。

長勝は元和6年（1620年）に江戸で亡くなり、享年は64歳でした。彼には跡継ぎがいなかったため、改易の危機にさらされるも、家康からの信任のおかげで甥で養子の長政が近江仁正寺に転封され、その形で家系が引き継がれました。

人物・逸話

戦国の混乱の中で生き抜いた長勝は、戦前に天満川の深さを測量し、その結果を徳川家康に報告したことでも知られています。このような実務的な才覚は、彼を世渡り上手な人物として評価させる要因となりました。結果的に、長勝は家康から譜代のように重用されました。

また、長勝の性格を示す逸話もいくつか存在します。『老人雑話』では彼が「放狂の者」と評されており、その逸話は彼の多様な面を物語っています。

系譜

市橋長勝は、父・市橋長利と母・前田氏との間に生まれました。彼の正室は浅井政貞の娘です。また、養子には市橋長政（林右衛門左衛門の三男）と武藤長吉がいます。武藤は長勝に養育されて後に市橋姓に改名し、旗本として仕官しました。

市橋長勝の生涯と功績は、彼が指導した藩の発展とともに、戦国時代から江戸初期の日本の歴史に重要な影響を与えました。

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