市民ラジオ

市民ラジオ（CB）とは

市民ラジオ（Citizens Band radio、CB）は、個人が手軽に利用できる短距離無線通信システムです。1958年にアメリカで制度化された27MHz帯の無線システムが発祥で、多くの国がこれを参考に制度を設けています。

各国の市民ラジオ

アメリカ合衆国

アメリカでは、最大出力がAMで4W、SSBで12Wと定められています。1980年代には、特にトラック運転手の間でブームとなりました。現在でも、携帯電話の電波が届かない地域での連絡手段や、緊急時の警察への通報手段として利用されています。

オーストラリア

オーストラリアでは、1970年代にアメリカ製のCB[[無線]]機が持ち込まれ、アンダーグラウンドで使用されていました。その後、1977年に18チャンネルで合法化され、1982年にはアメリカと同じ40チャンネルが採用されました。しかし、UHF帯のCB[[無線]]や携帯電話の普及により、27MHz帯のCB[[無線]]利用は減少しています。

日本の市民ラジオ

制度

日本では、1983年に免許不要の無線局となりました。現在では、以下の規定に従って運用されています。

無線従事者の資格は不要
電波法で定められた適合表示無線設備を使用
使用周波数は、26.968MHz、26.976MHz、27.04MHz、27.08MHz、27.088MHz、27.112MHz、27.12MHz、27.144MHzの8波
最大出力は500mW

AMのみで、チャンネル数や出力は機種によって異なりますが、規格は制度化当初から変更されていません。これらの技術基準は、無線設備規則と特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則に規定されています。

歴史

1961年に「27Mc帯の周波数の電波を使用する簡易無線局」として制度化されました。当時は免許が必要で、無線機器の型式検定に合格した機器を使用する必要がありました。1963年には技術基準が改正され、アンテナやマイクの形状に制限が設けられました。

1960年代には、道路工事現場やイベント会場などでの業務連絡に利用された他、趣味で利用する人もいました。1960年代後半には、ソニーと松下電器産業（現パナソニック）の製品が主流となり、ラジオ雑誌でアマチュア[[無線]]やBCLと並んで紹介されるようになりました。

しかし、1970年代後半頃から、不法な市民ラジオが社会問題化し、業務利用に支障をきたすようになりました。1982年には技術基準適合証明の対象となりましたが、機種数は減少していきました。

1983年1月1日に免許不要局となり、同時に無線局の免許は失効しました。簡易無線の局数は、1982年3月末時点で265,852局でした。

1989年に特定小電力トランシーバーが登場すると、小型軽量で使い勝手が良いことから、業務利用はそちらに移行しました。

2005年には技術基準が改正され、旧基準で認証された無線機は使用できなくなりましたが、2010年頃から再び生産されるようになりました。

現在では、ライセンスフリーラジオとして、趣味で利用されることが多く、独自のコールサインを名乗って運用されています。また、2021年には、コロナ禍の影響で旧技術基準の無線機が当分の間使用可能となりました。

不法市民ラジオ

1974年にアメリカでCB[[無線]]機のチャンネル数が増加した際、余剰となった旧規格の無線機が日本国内に流通しました。これらの無線機を日本の制度外で利用することが、不法市民ラジオの始まりです。

これらの無線機は、主にトラック運転手の間で広まり、仲間同士の連絡や業務に利用されました。通信距離を伸ばすために、増幅器（ブースター）を使用する人も現れました。これにより、電波障害や混信が発生し、社会問題化しました。

1980年代前半が最盛期で、専門の販売店も登場しましたが、実際には摘発された局数が増加した時期と一致しています。大出力の不法市民ラジオは、周辺機器の誤動作や火災の原因にもなりました。1980年代後半には、不法なパーソナル[[無線]]も登場し、不法アマチュア[[無線]]と合わせて「不法三悪」と呼ばれるようになりました。

規制・取締り

当初、不法[[無線局]]の取締りは現行犯逮捕に限られていましたが、1983年に「開設」しただけで逮捕できるようになりました。また、1994年には、不法な無線機を販売する業者に対する規制も強化されました。警察や海上保安庁との合同取締りも実施され、不法な市民ラジオは減少しました。

2001年には、不法な無線局に警告する規正用無線局が免許されました。2013年には、不法三悪による混信・妨害は減少したものの、輸入無線機による混信が増えていることが指摘されました。現在では、不法な市民ラジオはほぼ淘汰されています。

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